続く逮捕…死亡した7名全員に対して、すべて殺人事件で立件
だが、だからといってすぐに松永と緒方に対して、殺人容疑での再逮捕が実行されるわけではなかった。
ここで出てきたのが、原武裕子さん(仮名、41)という被害女性の存在である。
松永には詐欺師的な要素があり、これまで複数の女性に甘言を囁いては、その恋心を利用して現金を搾取してきた。裕子さんもその手口で夫と別れさせられた挙げ句、松永と緒方に監禁されて暴力を振るわれ、命からがら逃げだしたというのだ。
捜査本部は4月4日、松永と緒方を裕子さんに対する監禁致傷容疑で逮捕した。さらに5月16日には、同じく2人を裕子さんに対する詐欺・強盗容疑で逮捕している。
もちろん、こうしている間も捜査本部が、「本件」である殺人容疑での証拠集めに動いていることは承知していた。
この時期になると、取材する記者の間でも、死亡しているのは少女の父親である広田由紀夫さん(仮名、以下同)と、緒方の両親である緒方孝さんと緒方和美さん、緒方の妹である緒方智恵子さんとその夫の緒方隆也さん、2人の娘である緒方花奈ちゃんと、息子である緒方佑介くんの計7名であるということで、間違いないとなっている。
とはいえ、この7名を被害者とした立件があるのか否か、それは全員なのか一部なのかがわからない。それに、もし立件するとして、「殺人」でいくのか「傷害致死」なのか、さらにいえば、その順番はどうなるのかといったことが、不明なままだ。
私は複数メディアの福岡県警担当記者を情報源としていたが、彼らも常に捜査の進捗状況には気を配っていた。だがやはり捜査本部の「保秘」は徹底されていたようで、捜査の先行きを見通すような話は、なかなか出てこない。
そんななかで、流れが大きく動いたのは9月18日のことだ。捜査本部が松永と緒方を、緒方花奈ちゃん(死亡時10、以下同)への殺人容疑で逮捕したのである。
これを機に捜査本部の名称は、「小倉北区のマンション内における監禁・殺人等事件捜査本部」に変更された。
以降、緒方孝さん(61)、緒方和美さん(58)、緒方佑介くん(5)、広田由紀夫さん(34)、緒方智恵子さん(33)、緒方隆也さん(38)という被害者の順で、松永と緒方の殺人容疑での逮捕が続いていく。
結果として捜査本部は、死亡した7名全員に対して、すべて殺人事件で立件したのだった。
〈つづく〉
