センスで動く日本、ロジックだけで動く欧米
山口 なるほど。それを聞いて直感的に連想したのは、明治維新。それまで大名の立場にあった人たちが、普通に考えると不思議なぐらい素直にその地位を降りていったわけですよね。あれはおそらく深井さんのおっしゃる中長期的な合理性で、「国を維持することを考えたら、大名の座から降りるべきだ」と判断したからかもしれないですね。目の前の利権にこだわるということをせずに、もっと大きな判断基準に基づいて動いていたんじゃないかという気がします。
世界には、常に目の前の利得を争っていて、国の発展が阻害されているようなケースもよく見られます。そう考えると、日本にはたしかに中長期的に物事の合理性を考えて、短期の不利益を飲み込むことができる人が多いのかもしれません。そこは、欧米の人はあまりできないというのが、深井さんの見立てなんですか。
深井 欧米人は、直感的なセンスよりも、言語化や概念整理の力が際立っているので、言語化して突き詰めていった結果、ようやく合理性に達するという感じですかね。ESGとかは、まさにそういうことだと思っています。
山口 ロジックとセンスということで言うと、日本はセンスで動いていると。
深井 そうです。ロジック不在で、センスで動いている。逆に欧米人はロジックを重視する傾向にある。ロジックでできること、説明可能性と再現性があることしかできないとも言えます。僕が思うに、中長期合理性って説明可能じゃないことのほうが多いんです。だからそこは日本人が自分たちのよさを認めて活かしたほうがいいと思っています。経営判断でも、欧米のやり方だと説明可能性が求められるから、「中長期的に見てこれをやったほうがいいけれど、説明できないからやれない」みたいなことがあるのは、すごくもったいないですよね。
山口 たしかに。