コロワイドとの合流で期待できる「新業態」とは?

 C-Unitedとコロワイドが一体になることで予想できる展開の1つが「カフェ居酒屋化」だ。

 カフェ業界のなかでは「プロント」が、17時以降に店舗を居酒屋仕様に変える「キッサカバ」で、人気拡大に成功している。17時以降になるとサワー・ハイボールなどがメニューに加わり、山盛りのウインナーや居酒屋メニューをみんなでシェアして、ワイワイ騒ぐ――コロナ禍からの回復基調に上手く乗ったこの業態は、居酒屋から歴史が始まったコロワイドのノウハウを転用しやすい。

近年「キッサカバ」に注力しているプロント(筆者撮影)

 フードで言えば、コロワイドの代表的ブランドである居酒屋「甘太郎」の唐揚げや1ポンド赤身ステーキ辺りは良さそう。さらに、男性サラリーマンの支持が厚く喫煙スペースも確保されているベローチェなら、「タバコOKの居酒屋」として人気が出そうだ。

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 実はベローチェは、プロントが2021年にキッサカバを始める2年前から、カフェを居酒屋化する「Vバル」なる業態を、都内7店舗で展開していた。しかし、間の悪いことにコロナ禍が直撃。その後は経営難や新会社発足で「Vバル」どころではなくなってしまい、その間にプロントが颯爽とキッサカバで成功を収める……という何ともベローチェにとっては不運な展開だった。

 コロナ禍も遠ざかり、コロワイド傘下に入った今がVバルリベンジのタイミングとも言える。今回の買収劇のシナジーとして、実現を楽しみに待ちたいところだ。

死角はコロワイドの“悪癖”か

 話題を呼んだコロワイドによるC-Unitedの買収劇だが、こうして見ると期待感は大きい。居酒屋業態に強いコロワイドと、カフェ業態がメインのC-Unitedで事業領域は被らないし、互いにノウハウを得ることができる。ここ数年、フードを強みに店舗数を倍増させたコメダのような成長曲線を描く可能性も十分にあり得る。

 あえて懸念点を挙げるなら、「コロワイドが“合理化癖”を発動しないか」、という点だ。

 これまでコロワイドは、アトム(「ステーキ宮」「アトム」などを展開)や、レインズインターナショナル(牛角など)を次々と買収。祖業の居酒屋(甘太郎)が業界ごと伸びを欠く中、買収した会社の経営改善で、利益を挙げてきた。

 しかし、M&Aは必ずしも順風満帆ではない。2014年に買収したかっぱ寿司は黒字化が遅れ、回転寿司業界の1位から滑り落ちたまま戻れない。2020年に大戸屋ホールディングスを買収した際にはセントラルキッチンの導入を巡って現場と対立するなど、どことなく危なっかしい印象は否めない。

コロワイド公式サイトより

 また、従業員の昼食時間を巡る対立で会長が「生殺与奪の権は、私が握っている。さあ、今後どうする。どう生きて行くアホ共よ」と社内報でメッセージを送る(2023年6月14日・現代ビジネス)など、企業としての体質も不安ではある。

 もしコロワイドが必要以上の合理化を目論んでいるのであれば、まずは各チェーンのカウンターに座って、黙してコーヒーを飲みながら「あえてバラバラな要素を残しているチェーンの強み」について考えてみるのが良いだろう。下手に合理化・統一化すれば、圧倒的に先行するスタバ・ドトール・コメダと大差なくなり、珈琲館・ベローチェ・クリエともども業界の隙間に埋もれてしまうのは間違いない。

最初から記事を読む 「ベローチェ買収」でますます激化する“カフェ戦争” 今後は「脱コーヒー」がカギを握りそうなワケ

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。