妻は妻でわかってくれていて、なんにも言わない

村田 すごくいいですね。たしかにそれもありかもしれないなあ、なにか一言添えて。まとまった休みがとれるときもあるので、そのときはちょっと一緒にいてあげようかなと思うんですけど、定休日に僕の個人的な仕事が入ってきたり、どうしても家を空けることが多くて。妻は妻でわかってくれていて、なんにも言わないです。

笠原 一番わかってるよね。奥さんがね、大変さは。

村田 (料理を)つくりおいてあげたらいいんですね。

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笠原 子どもの好きそうなものをさ、ちょっと「菊乃井」さんの八寸っぽくすると可愛いじゃないですか。ウインナーを青竹の串に刺したり、ツナマヨのおにぎりをちまき寿司みたいに巻いたりさ。

村田 笹巻きで、鯛の木の芽寿司とか置いておいたら食べるかな。

笠原 木の芽寿司はまだ子どもには早そうだから、のりたまごはんでも(笑)。

村田 あはは、のりたまごはんを笹で巻いてちまきにしておけば。ありがとうございます。

お客さんがどうやったら喜んでくれるか

――以前村田さんのインタビューで、ご自分は料理人じゃないところから料理人になって、一番大事なことは技術がすぐれていることよりも、食べる相手を思う気持ちと相手への優しさじゃないですかとおっしゃっていたのが印象的でした。笠原さんの連載のお題に対する回答も、相手への優しさと愛が根底にあって、もしかしたら料理人さんは基本的にそういう心根をお持ちなのかなと。

笠原 やっぱりそうですよ。いい料理人は、こうやったら相手が喜ぶかなとか、そういうことばっかり考えてますよ。技術はね、ある程度やればみんな身につくんです。魚をおろす技術がうまくなりたかったら、すごいおっきいスーパーの鮮魚売り場で働いたほうが絶対うまくなるもん。でもそういうもんじゃないわけですよ、料理人っていうのは。技術があるにこしたことはないんだけど、その日のお客さまの感情をみてね、その日のさじ加減で内容を変えてあげたりとか、そういうところだと思いますよね、料理人にとって大事なことは。

 

――連載と書籍のタイトルにある「ご自愛」は、自分や自分の内側を大切にすることがまわりの幸せにつながる、という意図があります。

笠原 料亭なんてまさにそうだと思いますよ。ただお腹をいっぱいにするだけだったら要らないもん、掛け軸も季節のしつらえも。トータルでお客さんを楽しませて喜ばせて、「あー今日はいい時間だった」っていうところまでひっくるめてじゃないですか。