「お休みはあるんですか?」「こないだ泣かれたんですよ」

――笠原さんにとって「菊乃井」はどういう存在ですか?

笠原 日本を代表する料亭だし、食文化や日本料理を伝えていくために、ずっとあってもらわないと困ります。国宝みたいなもんですね、ある意味。

 だから知晴さんをはじめ、料亭を継ぐ人たちは、歌舞伎とか落語の世界にいる感じ。襲名してこれだけは残して、絶対に途切れさせちゃいけないっていう。そんな感じがする。

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村田 どうしたらいいんですかねえ。

笠原 とにかく健康に気をつけて、維持して。

 

――2026年5月27日に発売した、連載をまとめた書籍『ちゃんと食ってるか!? 笠原将弘のご自愛めし 健康になれる(かもしれない)春夏秋冬の問答レシピ』(文藝春秋刊)は、人生と健康のお悩みを笠原さんが料理で解決していくというものです。村田さんのいまのお悩みはなんですか?

村田 お悩みですか。お悩み……。

笠原 お休みはあるんですか?

村田 笠原さんもそうだと思いますが、仕事柄、まとまった休みがとりにくくて。ふだんも仕事から帰ると子どもは寝ていて、朝もほとんど会えないし、なかなか子どもと遊ぶ時間がなくて。

笠原 そうなるよねえ、でもねえ。

村田 それで、こないだ泣かれたんですよ。僕のいないところで「もっとパパと遊びたい」って泣いたらしくて、夜家に帰ったら、机の上に折り紙があって「パパともっと遊びたいです」って書いてありました。

親父がつくるものを食べて、親父を感じていた

笠原 泣けるな、それは。調理場に来させたりとかはないの? まだ小さいから難しいか。

村田 さすがにまだないですね。店の外をうろうろしたり、大将が呼んで、八寸台のカウンターのところをちょろちょろさせたりとか。

笠原 お父さんと遊ぶまでいかなくても、同じところにいるだけでもいいのかなって思います。お父さんはこういう仕事をしてるんだなって、小さい頃から感じられて。俺も、「菊乃井」さんと比べたら笑っちゃうような話だけど、実家が焼き鳥屋で、学校から帰ると親父が仕込みをやってるでしょ。店の2階に住んでたから。そういう意味では、(親父と)遊ぶ時間はなかったけど、さみしくはなかったよね。

 

村田 なるべく一緒にいる時間をつくってあげればいいのか。

笠原 あと俺は親父がつくるものを食べてたから、家のごはんもそうだけど、お弁当にも焼き鳥が入っていたり、そういうところで親父を感じてましたね。たとえばなにかつくって置いておいてあげれば、小学生なら小さいおにぎりをつくって「朝ごはんに食べていきなさい」とか。そういうのでいいんじゃないですか。

 あと運動会とか記念日のお弁当だけは、ちょっときばってつくってみるとかね。うちの親父は運動会とか遠足の日に、俺のためのお弁当とは別に、焼き鳥を30本くらい持たせてくれて「みんなで食えよ」って。たとえば「菊乃井」さんの松花堂みたいなものを息子さんに渡してね、みんなで食べなさいって(笑)。