刑務所ダイエット

「天国でしたね。皆さんも一度入ってみるといいですよ。娑婆で食うメシより低カロリーで健康的だし、刑務所ダイエットって呼んでるんです」

 囚人が陰茎に玉を入れる手術に何度も付き合った。

「箸を折って、ゴルフのティーのようになるまでコンクリでこするんです。入れる玉は碁石か歯ブラシの柄とか、工場のなかでプラスチックの玉とか見つけるんです。それを磨いて、ティーの後ろに玉を置いて、陰茎の皮をつまんで貫通させてそのまま押し込むんですよ。ティーを抜き取ると玉だけ残る。オロナイン軟膏塗って、私物のティッシュで巻く。金曜日やれば土日、休みだから看守に気づかれずにくっつくんです。

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 そりゃ痛いですよ。唾で消毒するけど化膿するし。ヤクザ以外も堅気だって入れるんですよ。窃盗犯でも。俺? 入れません。あんなの入れても女にモテませんから」

 陰茎に玉を埋め込むと、挿入した際、膣壁に摩擦をあたえ、通常の性交よりもはるかに刺激的な性交になる、といにしえから遊び人たちの間では伝説化されているのだ。

 出所後、特異な体験を本にしようとみずから少しずつ書きはじめていた。

 文章力が河出書房新社の女性編集者の目に留まり、作家デビューを果たす。