そしてシーラカンスがかかった後は、根気強く手繰り寄せる。純粋にシーラカンスVS漁師の力比べだ。

沼津港深海水族館で僕らは、約12分の映像を見ることができる。その中で1981年12月、1体を釣り上げた様子が次のように紹介されている。第1次調査隊が翌1982年1月に日本に持ち帰った大きなシーラカンスだ。

「日没前に小型のカヌーで漁に向かうコモロの漁師たち。日中は水深200メートルより深いところで、ひっそりと暮らしているシーラカンスですが、夜になるとエサを求めて浅いところに上がってきます。漁師たちは、その生態を昔から知っていたようです」
「1981年12月31日、シーラカンスとの激闘が始まりました。150メートルの深い海から釣り上げるのに8時間、ついに大型のシーラカンスが釣り上げられたのです」

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夜学で写真を学ぶ

2025年10月1日午後、映画カメラマンの堀田泰寛さんから指定された東京・杉並の喫茶店に向かう。定時少し前に着いたが、近くにお住まいとのことですでに奥様と一緒に着席していた。ネットで顔写真を確認しており、たっぷり蓄えた口ひげとあごひげから一目でご本人と分かる。

アポ入れの際のやりとりで、しっかりと話を聞きたいことに加え、写真や関連資料があったら拝見したいと伝えていた。堀田さんからは「取材趣旨に沿う、生々しい話ができるかどうかは、分かりませんが精一杯やってみます。シーラカンスに関する資料、写真も含めて多少はあります」との返信をもらっていた。

名刺交換を済ませた後、堀田さんが持参した資料を確認する。その中には、シーラカンスに関する書籍や堀田さんが寄稿した雑誌などが入っていた。さらに沼津港深海水族館が持っているのとは別の学術調査隊による冊子もあった。1984年1月に出発したシーラカンス学術調査隊の第2次隊についていまだ「計画」として記されているから、沼津のものよりも古い。

また資料には、1984年1月に調査隊とシーラカンス解剖解析委員会が開いた「第1回シーラカンス調査・研究シンポジウム予稿集」というものがあった。