胃袋の小さい選手は眼中になかった
ギリギリの勝負になると、表情ひとつが戦いを左右することすらあるという。だから、トップクラスの選手はみな、ムリをしてでも余裕な雰囲気を醸し出す。
「ペースが落ちてきたと悟られちゃったら、勢いづかれて逆転されたりってこともありますからね。極限状態でリードを奪われると、どうしても心理的に焦っちゃうので。
実力が拮抗してくると、自分のペースを少し乱して水を多めに飲んででもリードしたくなることもあるんです。でも、その時の水1杯の量が差を分けて負ける可能性もあります」
水1杯、ひとくちのせめぎ合い。ただ食べているように見えて、胃だけでなく頭の中もフル回転。あえて辛そうな表情を見せる“ブラフ”も戦略のひとつだ。
いくら優勝できる実力(胃袋)があっても、戦略ミスで敗れることもある。だからこそ、トップレベルでは経験値の豊富なベテランが有利になることも。
「胃の容量に2kgの差があれば、ベテラン勢でもちょっと逆転は難しい。ただ、1kgだったら逆転できる。それだけのテクニックを持っているのが、トップ層ですね。
ただ、トップ層は10kg以上の胃の容量を持っていますが、あとはだいたい7~9kgくらい。正直言って、8kgぐらいの選手って僕らからしたら眼中にないんです。
テレビ的には、気鋭の若手、なんて取り上げられてこっちが苦戦したら面白いというところだとは思いますが、こっちはまあ大丈夫だろうと思っています」
一般人からすれば、胃の容量が8kgというだけでも超人を超えた世界なのだが、フードバトルのトップではまだまだひよっこなのである。
ボロボロの体でも“普通に優勝”
ともあれ、10kgを超える巨大な胃袋をトレーニングで作り上げ、その上で戦略を持って勝負に挑んできたジャイアント白田。しかし、もちろんすべての戦いでコンディションが良かったわけではない。大会初日に発熱してしまい、ボロボロになりながら決勝まで勝ち進んだこともあった。
「そのときは決勝戦までずっとグダグダなんです。なるべくムリせず、勝ち抜くことだけを考えて。消化ってかなり体力を使うので、たくさん食べると治りが悪くなる。だから体を休めつつ、ちょっとの差でいいから勝っていけばいいというぐらいで戦いました。
で、決勝ではもう治ってきていたから、普通に勝って優勝して。『白田って最後以外弱いじゃねえか』と言われました(笑)」
