見逃されがちな隠れ遺構も

 温井屋敷を後に、石垣脇の道を登り二の丸へ。散策路は丁寧に整備されているが、アップダウンの繰り返しはじわじわ足と心に効いてくる。あとで同じ道を引き返してくることを考えると、その効き目は実際の倍に思えてしまう。

二の丸全景

 二の丸の一番の見どころは、北端の案内板の裏に隠れていた。船の舳先のような土塁が残っている。さらにその端まで進んでみると、樹間から山麓が見えた。

二の丸北の土塁
二の丸からの眺望

 本丸から見えた七尾市街より少し内陸の「のと里山里海ミュージアム」周辺と、能登湾最奥部まで見渡せる。異なる方角に見通しが効くので、見張りに最適だったはず。看板裏で見過ごされがちだが、土塁とそこからの眺望はぜひ、目にすべきだ。

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城内最大の“奈落”大堀切

 二の丸からさらに先へと続く木製階段を見て、思わず足がすくむ。

二の丸から下る階段

 戦国時代そのままではなく「階段があってよかった」のだが、とんでもない急傾斜だ。慎重に下ると、しばらく平行移動。そしてその先でまた同じような急傾斜の階段がもうひとつ。下ってゆくと“奈落”が見えてきた。二の丸と三の丸に挟まれた、城内最大の大堀切だ。

二の丸側の山腹から見下ろす大堀切
三の丸側の堀底より。左上が二の丸

 堀底から見上げると、この落差を下ってきたのか、と思うと驚嘆せざるを得ない。案内板によると、幅約40m、高さ約26m。

 七尾城=石垣の城のイメージが強かったが、正しくは“石垣と堀切の城”だ。

 登山道は堀切から直登せず、迂回して三の丸へ。南北110m、東西25mは、城内最大面積の曲輪。中央あたりにある巨石や列石は、城の遺構かどうかは判然とせず。

 ところどころに低いが土塁も。そして三の丸南端から大堀切を見下ろすとゾッとする。これでも落差は二の丸側の3分の2程度だと思うのだが……。

曲輪内に巨石も転がる三の丸
三の丸南端から大堀切