雑誌の連載、テレビのレギュラー出演、商品開発や食のイベント――寝る間も惜しむように働く、東京・恵比寿の予約が取れない日本料理店「賛否両論」店主・笠原将弘さん(53)が出版した書籍は、通算100冊以上。愛と料理で人生のお悩みを解決する“問答レシピ”形式で人気を博した「週刊文春」の連載「笠原将弘のご自愛めし ちゃんと食ってるか!?」の書籍化(小社刊)を機に、料理人として理想の最期を尋ねた。(全6回の6回目/最初から読む)
ハンバーグは気持ちをこめられる料理
――新刊の表紙はハンバーグなんですが、連載でのお題は、定年を迎える夫を労うための感謝のレシピを教えてくださいというものでした。なぜハンバーグに?
笠原将弘さん(以下、笠原) 奥さんがつくるわけでしょ? 意外とハンバーグって手間もかかるしさ、こねたり成形したり気持ちをこめられるような料理じゃん。あとは昭和のご馳走といえばこんな感じだったなって、そんな話でもしながら食べてほしい。
――笠原さんのいわゆる定年はまだ先かと思いますが、いまやりたいことはなんですか?
笠原 まず行けるうちに海外。ちっちゃいころにテレビで観てたアフリカとかさ、インドとかさ、行ってみたいじゃん。ふつうに。
子どものころ行ってみたいと思ってたところに行きたい
――それは旅行に?
笠原 旅行に行ってさ、食べたいもの食べて、きれいな景色も見てみたいしさ、そういうのまず思うでしょ。オリエント急行とかも乗ってみたいなって思うわけですよ、小さい頃にテレビで観てたようなさ。
――出張なら行くけど、くらいの温度感なのかなと思ってましたが、旅行に行きたいんですね。
笠原 旅行に行きたいというか、子どものころ行ってみたいなーって思ってたところに行きたいっていうことですよ。早く元気なうちに行っときたいなっていうのと、お店がいっぱいできてスタッフもいっぱい抱えて、それも幸せなことなんですけど、自分一人でね、カウンターだけの店とかやったらね、ストレスもないだろうしさ。いまは自分の料理を出してる感覚がないわけよね。これだけ大きくなっちゃうと。だって、仕込みなんてほとんど若い子たちがやってくれてるわけでしょ。もちろん営業中は最後まで厨房に立ってるけども、仕入れから一から全部自分でやってるわけではないし。

