シマケン(佐野晶哉)か、虎太郎(小林虎之介)か——現在放送中の朝ドラ『風、薫る』では、主人公・りん(見上愛)を取り巻く男性たちに注目が集まっている。
では、りんのモデルとなった大関和は、実際にどんな恋愛観を持っていたのか。好みの男性のタイプを聞かれた彼女の「答え」とは。朝ドラの原案となった評伝小説『明治のナイチンゲール 大関和物語』(中央公論新社)より抜粋して紹介する。(全4回の3回目)
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若い医師たちから好意を寄せられるも…
看病婦取締となって1年が経つ頃には、医療界で和の名前を知らぬ者はいないというほど、その奮闘が知れ渡り、有力者の手術の際に声がかかるようになる。これは、実習生時代に吉村セイから伝授された器械出しの技術が買われたことに加え、和が担当する患者たちの術後の経過がいずれも良好だったためである。抗生物質がなかった当時、術後の管理こそトレインド・ナースの腕の見せどころであった。
技術もさることながら、相馬黒光が記したように「きっぱりとした野州生れで、正しと信ずるところにはいささかの躊躇もなく、言うよりも早く実行がある」という和の人柄も信頼を集めたようだ。中には元家老の娘という出自を重視した者もいただろう。
和は、実習生時代から顔なじみの若い医師たちとも連携し、毎日快活に働いた。黒光は和についてこうも記している。
「看護婦としてなかなか美人であったから、田代義徳、芳賀栄次郎、三輪徳寛、入沢達吉等の諸名家が医大在学の青年時代、しばしばほほ笑ましい話題を供せられたという。もとより女史の純潔はそれら若人の間にあってさらに不安なく、またそれほどこの人の信仰はひたむきであったと見られる」(『穂高高原』)
医師たちから好意を寄せられても、和はあまりに無頓着であった。中には、プライドを傷つけられたと感じる医師もいた。



