つくった商品はすべて買い取る仕組み
わらむではつくった商品をすべて買い取っている。技術が上がれば稼げる金額も上がるので、モチベーションにもつながっているようだ。
現在、わレらの学校には小学生から30代くらいまでの若者が所属し、このなかから職人になった人は13人いる。さらに、自ら企画してヒット商品を生み出す人も出てきた。生産が追いつかないほど人気になり、「出来上がるまで帰らない」と遅くまで作業をしている姿を見て、酒井さんは「こんなガッツがあったのか」と驚いたという。
「今では、僕より技術を持っている子もいます。こういう子たちにわら細工を任せておけば安心だなって思いますね」
わら細工業界の発展を願って
わらむを立ち上げた時は400万円に満たなかった売上が、2026年度は7000万円を超える見込みだという。
人材の育成や乾燥機などの設備に投資していたためずっと赤字続きだったが、2025年に初めて黒字化した。稼げないために後継者が育たず担い手がどんどんいなくなっていた業界で、会社が潰れず継続してこられたことに酒井さんは手応えを感じている。
今の課題は何かと聞くと、「僕の健康面ですね」と苦笑いが返ってきた。
「人よりかなり睡眠時間が少ないので、長生きできないかもしれません。僕がいなくなるとたぶんすべてが終わってしまうので、今は経営を担ってくれる人を探しています。みんな技術は持っているので、彼らを引っ張って経営してくれる人がいると安心ですね」
わらむは相撲や神社など日本の伝統を支える、日本にとってなくてはならない会社になっているはずだ。今50歳の酒井さんは、自分がいなくなった後でも継続できる体制をつくらなくては、という使命感を持っている。
酒井さんはわらむの存続だけではなく、わら細工業界の未来も考え、「今年中にわら細工協会をつくりたい」と話す。この業界は横のつながりがあまりなく、技術を習える場所も少なかった。全国的な組織をつくることで、わら細工の技術だけではなく歴史まで総合的に学べるようにすることと、わら細工を教える講師を養成することが目標だ。