『散歩哲学』(ハヤカワ新書)の著書がある作家・島田雅彦さんと、現代社会に鋭い視線を向ける哲学者・國分功一郎さん。かねて親交のあるふたりが「散歩の哲学」を語り合う。
◆◆◆
キクラゲをつまみ食い
國分 島田さんは、普段はどんな散歩をされているんですか。赤羽でいろんな飲み屋さんにいったり……。
島田 飲んでいるばかりじゃなくて、ただ歩く散歩もよくしますよ(笑)。小説を書いていると、40分も経ったら1回目の煮詰まりがくる。集中が持たないんです。
國分 よくわかります。論文もそうですよ。
島田 そうなると1回そこから離れたほうがよくて、散歩しながら鳥の声を聞いたり、路傍の花を見る。それでアイデアが浮かんで、戻ったら書けるなんてことがよくあります。
わが家は多摩丘陵にあるので、坂道が多いところにいくつか定番のコースを決めています。家の中でタバコを吸うと怒られるので、喫煙所にたどり着くのが一応の目標です。
多摩丘陵は雑木林が残っているので、中をふらふらしていると割と食べられるものが見つかるんですよ。
國分 食べられるって、自然に生えているものということですか?
島田 ええ。よくキクラゲをとって食べています。野生の柿の木とか、所有者不明のビワやみかんの木があるので、それをつまみ食いします。
國分 ぜいたくな散歩だ(笑)。
島田 キクラゲ以外のキノコもいろいろ見つけられるけれど、よくわからないから食べません。國分さんは、散歩は?

