「芸能界1本で生きていくのは無理だ」

宇野 30歳になった私は、「芸能界1本で生きていくのは無理だ」とうっすら悟っていました。さらに、頑張っていた通訳の仕事も、蕁麻疹で失ってしまった。そんな状況でも、先生の言葉を思い出して、「昔から文章を書くのは好きだったな」と考えたんです。

「ライターなら自宅でもできるかもしれない」と思い、さっそくウェブサイトのライターに応募しました。自分で企画を出して、取材をして、という感じでやっていました。

 数年経って、ある時、女性向けのメディアに書きたくて、プロフィールを送ったんです。そうしたら、編集者の方から連絡がきて、「エッセイを書きませんか?」と思わぬオファーをいただいて。昔からエッセイストに憧れはありましたが、「私なんかに需要あるの?」と半信半疑でした。ありがたいことに反響があって。最近は、俳優さんのインタビューや、歌舞伎の取材など、元々のキャリアが役立つお仕事が増えてきています。

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――ライターとして、ご自身の経験が生かされていると感じることはありますか?

宇野 俳優さんにインタビューをするときは、何が嫌がられて、どんなことを聞いてほしいのか本能的に分かる部分はあると思います。

 歌舞伎を観るようになったのは20代半ばくらいから。歌舞伎座の知人に毎回、舞台の感想を送っていたので、その経験が生かされているのかもしれません。プロの視点に寄りすぎず、初心者の方にも分かりやすく書けることが、私の強みだと思っています。

――子供時代から華やかな世界に身を置きながら、堅実に働く道を選んだのはなぜだったのでしょうか。