73歳で空中ブランコに挑戦

 こうした日々の鍛錬のおかげで80代を迎えた現在まで現役を続けてこられた。73歳だった2019年には、ミュージカル『ピピン』で空中ブランコに真っ逆さまの体勢でぶら下がって歌い、喝采を浴びた。

『ピピン』は古い作品で、中尾もそれ以前に2度出演していたので、このときのオファーも気軽に引き受けたら、新しい演出では出演者全員がアクロバティックなことをやるという設定になっていた。公演の10ヵ月前に演出家から「懸垂を10回できる体にしておいてください」と言われたときはさすがに絶句したという。

 だが、ブロードウェイでの公演で同じ役をやった俳優も自分と同年代だと聞いて、できないとは言えず、まずは近所の公園のうんていにぶら下がるところから始めた。同時にジム通いに力を入れ、自宅でも朝目覚めてから30分間のストレッチを習慣にした。

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ミュージカル『ピピン』での中尾ミエ(『ピピン』公式Xより)

 こうして体を鍛えあげ、せっかくだから写真に収めておこうと考え、自らカメラマンを探して、週刊誌に載せてもらっている。公演が終わると早くも再演の話を聞かされ、その後も体を維持すべくトレーニングを継続、2022年の再演時には76歳になっていたが、このときも空中での歌唱を見事にやってのけた。

白髪を染めるのをやめた

 トレーニングは近所づきあいを深めることにもつながった。愛犬との散歩の途中、公園で体操やストレッチをしていたところ、近所の人たちが「私もやりたい」と集まってきたので毎朝一緒にやるようになり、「ミエ道場」と呼ばれている。

 体を鍛えているのは、50代後半で白髪を染めるのをやめたからでもある。髪が白いとどうしても老けて見えるので、体形の維持や健康的な食生活などに気を遣うようになったという。染めるのをやめると、白髪を隠しているという意識がなくなったので精神的に楽になり、《白髪は、一生懸命生きてきた私たちの勲章です》(『週刊朝日』2017年6月30日号)と断言する自信にもつながった。(つづく)

次の記事に続く 「結婚っていう言葉に拒否反応が」男性と長らく同居→独身を貫く理由とは…80歳になった中尾ミエの“ぶれない人生観”

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