ママに再婚してほしいけど

 パパが亡くなってから、ママを真鶴にひとり住まわせておくわけにもいかず、東京で一緒に暮らすことにした。

 これまで梅宮家の問題はパパがすべて解決してきた。ママはすべてパパ任せ。だから、私の目からは、ママは困難にぶつかったことがないように見えた。

 パパに代わって私が梅宮家の中心になると、より一層そう感じる。

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 パパの死から3年がたち、私が真鶴の家を売却しようと駆け回っていたときに、ママは大動脈解離を発症し、ICU(集中治療室)に4日間入院した。当然、ママも老いていくのだと痛感して、余計に私が面倒を見なくちゃいけないと思うようになった。

 しがらみなのか、それともDNAがそうさせるのか。母親らしいことをしてもらった記憶はないけど、でもママは私の親には違いない。そう自分に言い聞かせた。

 だから、私ががんになった今、ママは不安で仕方がないはずだ。私が死んでしまえば、下手すると生きていけないかもしれないから。

 

「結局は、自分の心配でしょ。今、私がいなくなったら大変だもんね」

 抗がん剤の治療中、脚をマッサージしてもらいながら、私がママに言ったのは、そんな気持ちだったからだ。怒りと憐み、そして、最後は私が面倒を見なきゃ、という母への責任感みたいなものが、ないまぜになったんだと思う。

 ママも図星だったはず。だけど「そんなことないわよ」と取り合おうとしなかった。

 正直、ママには再婚してほしい。

 そうすればママも幸せだし、何より私も楽になる。

 こう言っちゃなんだけど、ママは男に頼らないと生きていけない人。家の電球一つ替えるときでも「やっぱり男の人がいた方がいいのよね」なんて言い出す。それを聞くと「それくらい自分でやろうよ」と思ってしまう。このへんが私と大きく違う。

 私は男に頼りたくないと思って生きてきた。だからこそ結婚にも向いてないことは自覚してるし、離婚だって経験した。

「ねえ、ママ、マッチングアプリでもやったら?」

「やってみようかしら」

 そんな会話をしたこともある。

 でも、たぶん無理だろうな。ママは別に男好きじゃないし、相手が誰でもいいわけじゃない。

 というか、やっぱり、パパを超える男はいないのだ。

写真=平松市聖/文藝春秋

 梅宮さんの著書『フルコース』では、母・クラウディアさんと父・辰夫さんの衝撃の馴れ初めや、娘・百々果さんとのローションを掛け合うほどの大喧嘩、10日で再婚した夫との関係など、赤裸々に書かれています。

フルコース がんと私と家族の日々

梅宮 アンナ

文藝春秋

2026年6月10日 発売

最初から記事を読む 「親を選べたらよかったのに」と思ったことも…梅宮アンナ(53)が今だから語る、母・クラウディアの“美化されない素顔”と大雨の記憶

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