衆参両院は6月10日、皇族数の確保に向けて「女性皇族が婚姻後も皇族身分を保持」と「旧宮家の男系男子を養子に迎える」の2案を了とする「立法府の総意」を取りまとめた。政府は皇室典範の改正案を閣議決定して、今国会での成立を目指すという。
これまで皇族数の減少をめぐる議論では、何が語られてきたのか。「文藝春秋」7月号に掲載された「深層レポート 天皇が漏らされた“ご懸念”」から一部を紹介する。
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皇室典範議論の「今更感」
「今になって急に議論が進んでいるようですが、率直に申し上げて『何を今更』という気持ちです。皇族数が減り、皇室が先細っていくことへの懸念は、今に始まったことではありません。悠仁親王殿下を支える皇族数を増やすために制度を変えるなら、親王殿下がお生まれになった時に変えられたのではありませんか」
ある皇族は、周囲にこう戸惑いを漏らしておられるという。現在大詰めを迎えている、皇室典範改正をめぐる与野党協議のことだ。
話し合われているのは、現在16方(うち男性皇族は5方)となった皇族数の減少を食い止めるための方策だ。皇位継承順位第2位で、次世代の天皇である秋篠宮家の長男、悠仁さま(19)は、皇室最年少。即位なさる頃には、お支えする皇族数が激減していることが懸念される。さらに、悠仁さまのお子さまとして男子が生まれなければ、次の世代の皇位継承者が不在となる事態も想定されるのだ。
皇室典範改正が検討されているのは、そんな事態を避けるためだ。具体的には、(1)女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する案と、(2)旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える案の2案について協議が進む。保守派を自任する高市早苗首相は、7月17日までの今国会での皇室典範改正に意欲を示してきた。
皇族数確保の議論という建前を保ちつつも、この2案の源流にあるのは、「女系天皇に道を開くか、男系継承を堅持するのか」という、皇位継承をめぐるきわめて重い二者択一だ。女性皇族が結婚後も皇室に残れるようにした場合、将来的にはその子ども(女系)に皇位継承権を与えるか否かの議論に発展する余地がある。一方、旧皇族の男系男子が皇室に復帰し、その子ども(男子)に皇位継承権が与えられれば、皇位の男系継承は維持されることになる。
女系容認か、男系堅持か。この議論をめぐっては、平成の時代から天皇家と保守派との間で、長きにわたる攻防があった。そして現在、皇室の思いとはかけ離れた形で決着の時を迎えようとしている。


