――どんなケンカを?

 コンディションやパフォーマンスに不安を抱えていた時に、八つ当たりしてしまったり。でも、彼は全く動じなかった。器がめちゃくちゃ大きいんです。

――辻上さんと一緒にいると、素の澤さんでいられたんですね。

ADVERTISEMENT

 気が合うなとは思っています。彼は中学、高校時代をアメリカで過ごしていたんです。私もアメリカのチームでプレーしていましたから、思考が近いのかも。とにかく彼と一緒にいると居心地が良かったので、自然とパートナーとして意識するようになりました。

澤さんから気持ちを伝えた

――澤さんからアプローチを?

 アプローチというか、この気持ちを伝えないと後悔するな、と思って。

――辻上さんからのお返事は?

 「自分の気持ちを素直に伝えてくれてありがとう。でも澤ちゃんのことは友達として見ているよ」というような感じです。でも、後悔はしませんでしたし、友人関係が終わることもなかったので、その後、自主トレに付き合ってくれることになったんです。

――辻上さんは以前メディアで、「彼女のランニングを自転車で伴走しながら、彼女の人生をサポートするのもありかもと思った」と仰っていましたね。

 あの自主トレから距離が縮まったような気がします。自然と、お互い結婚を視野に入れるようになりました。付き合い始めたのは2015年の頭くらいでしたね。

決勝ゴールを決めた引退試合も見届けて

――サッカー選手同士だとお互いを阿吽の呼吸で理解できるところも多そうですが、かえって難しい部分などはありますか?

 彼はかなり自問自答したらしいです。「澤穂希の人生を自分が引き受けられるのか」と。でも私は彼を心から尊敬していたし、人生を一緒に歩きたいと考えていたんです。だから、「私たちが力を合わせればどんな困難も乗り越えていけると思う」と彼に告げました。彼はその言葉で結婚を決意したと。

――そして、2015年8月にご結婚。同年の12月、澤さん自ら決勝ゴールを決めた引退試合(皇后杯JFA全日本女子サッカー選手権)も、辻上さんは見届けていらっしゃった。

 37歳の時です。カナダW杯出場を経ての最後の試合で、「やりきった」と心から言えるものでしたね。彼のサポートにも感謝しています。