元サッカー日本代表の澤穂希さん。15歳で日本代表入りし、ワールドカップには6大会連続で出場。キャプテンとして臨んだ2011年ドイツW杯での優勝、そして大会MVPと得点王という功績は、今も多くの人の記憶に刻まれている。同年にはアジア人初となるFIFAバロンドール賞「女子年間最優秀選手賞」受賞という偉業も成し遂げた。現在は一児の母として子育てに励む澤さんに、現役時代を振り返って思うことやチームの関係性、今後の展望について伺った。(全4回の4回目)
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ピッチへの復帰は1ミリも考えたことがない
――子育てが一段落したら、またピッチに戻る予定はありますか?
澤穂希さん(以下、澤) それはまったく考えていません。日本サッカー協会の「JFA Magical Field Inspired by Disney」をはじめ、全国で様々な子ども向けのサッカー教室の指導は楽しんでいますけど、競技的なものには一切興味ないですね。
元Jリーガーや、サッカーをやっていた親御さんから「一緒にサッカーをやりませんか?」というお誘いもいただくんですけど、全てお断りしています。ピッチへの復帰は1ミリも考えたことがないし、これからもないですね。
――なぜそこまで強く言い切れるのですか。
澤 現役時代、100%やり切ったという思いがあるからです。完全燃焼なので、残り火はひとかけらもありません。
現役時代は苦しいことがたくさんあったけど、それ以上に楽しいことの方が多かった。こんな満足感・充実感を得られているのも仲間に恵まれたことと、多くの人にサポートしていただけたからだと、今でも心から感謝しています。
2011年、東日本大震災の発生後に行われたW杯
――2011年のドイツW杯で優勝し「To Our Friends Around the World/Thank You for Your Support」と書かれた横断幕をなでしこが掲げたときは、日本だけでなく世界をも一つにした気がします。
澤 ドイツW杯の優勝は、何か目に見えないものが私たちの背中を押してくれたような感じがします。2011年3月の東日本大震災は本当に衝撃的でした。
チームのみんなとどうするべきか、話し合うこともありました。それぞれに色々な思いがある中で、私たちがやれることをやろうと。日本に少しでも明るい話題を届けたいと思っていたし、チーム力を見せることで、一人じゃないんだよというメッセージを伝えたかった。
加えて、日本に対する各国の支援に感謝する気持ちを、日本を代表して世界の皆さんに伝えられるチャンスでもあると思っていました。優勝したときに大きく取り上げてもらいましたが、実際は試合が終了するたびに掲げていたんですよ。

