元なでしこジャパンの澤穂希さん(47)。15歳で日本代表入りすると、6大会連続でW杯に出場、2011年ドイツW杯ではキャプテンとしてチームの優勝に貢献するなど、日本女子サッカー界を牽引した。2015年に現役を引退し、38歳で出産。現在は仙台で子育てしながら、スポーツの普及のため様々な活動を行っている。澤さんが子育中に抱いた喜び、葛藤とは……? 家族との日々について伺った。(全4回の2回目)

澤穂希さん ©今井知佑/文藝春秋

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――澤さんご一家は、「妻ファースト」だと聞きました。

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澤穂希さん(以下、澤) そうですね、ありがたいことに。家の食卓は3人掛けなんですが、私が真ん中。レストランが4人掛けだと、私の横に誰が座るかで夫と娘がもめています(笑)。夫は娘のことももちろん大事にしてくれていますが、まず私の意見を聞いてくれます。娘も「母ファースト」です。

――家でも司令塔をされているんですね。

 やっぱり、家族もチームです。お互い分かり合って結婚したつもりでも、それまで育った環境や見てきたもの、経験したものが違うので、相手への思いやりがなければ家庭は回らないですよね。私たちはアスリート夫婦でもあるので、あえて口には出さなくても、「やると決めたことはやる」「約束したことは守る」という思いは、結婚当初から一緒だったかな。

娘に伝えていたこと

――子育てに対しても考えは一緒ですか?

 そうですね。娘が小さな頃から、「一人でしっかり生きていく力をつけてほしい」と願って向き合ってきました。

――「澤穂希の娘」となると、時には周りから特別視されることもあるんじゃないでしょうか。

 少なからずあったと思います。その時娘がどう答えているかは分かりませんけど、私達は本人にきちんと伝えるようにはしていますね。

 たとえば私の友人が娘にプレゼントを贈ってくれたりしたときに、「あなたは恵まれているよ」と言います。夫も「人様からいただくものには心があるから大事にするんだよ」と言いつつ、「母が頑張ったから、よくしてもらっているんだよ」と念押しするんです。学校の友人にも恵まれたおかげで、彼女らしく成長してくれているなと思います。