藤井竜王・名人とのタイトル戦から得たもの
――佐々木(勇気)八段が「イトタクは勝負強くて、奨励会時代から憧れの存在なんです。特に終盤力をものすごく鍛えている」と大絶賛されていました。また、「棋士になってから終盤力をさらに向上させた珍しいケースだ」とも仰っていましたが、何か意図的に取り組まれているのですか。
伊藤 詰将棋に関しては、むしろ棋士になってからのほうが解いているのかな、という気はします。ただ、それが直接、終盤力の向上に直結しているものなのかどうかは、自分でも定かではないので……。
伊藤叡王は「うーん」としばらく沈黙し、言葉を選ぶように続けた。
まあ、やっぱり、強い棋士の皆さんと公式戦で対戦を重ねてきた、その経験が生きている。そういう風に感じるところはあります。
――なるほど。初めてタイトル戦(竜王戦)に登場された際、第1局に敗れたあと落ち込んだ表情を拝見しましたが、今の佇まいはまるで別人ですね(笑)。
伊藤 あははは(笑)。
――そうした大舞台での経験があったからこそ、終盤力が磨かれたという実感でしょうか。
伊藤 藤井(聡太)さんとタイトル戦で対戦して、終盤の読みの深さをこれでもかと見せつけられましたから。そこで学んだところ、得たものは非常に大きいです。
――次はいよいよ、2023年の竜王戦以来となる2日制のタイトル戦で、藤井聡太王位に挑戦されます。
伊藤 今回の王位戦では、自分がどれくらい(藤井との終盤力の)差を埋められているかというのを、自分自身でも楽しみにしている部分があります。やっぱり、少しでもシリーズを盛り上げたいですね。
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