「サンサンスポンジ」が高くても支持される「5つの特長」

 「サンサンスポンジ」が評判となったのは、5つの特長を備えていたからだ。それは、「(1)泡立ちが早い、(2)泡切れ・水切れがいい、(3)乾燥が早い、(4)食品の色が移りにくい、(5)半年以上使えるほど丈夫で長持ち」という点だ。これらのメリットは、スポンジのセル(気泡)の大きさを適切にコントロールし、あえて目を粗くしたことで実現できたものだった。

あえて1層構造にすることで、さまざまな形の食器に合わせて洗えるようにしている ©細田忠/文藝春秋

 さて、ここで1つ疑問が湧いてくる。キッチンスポンジの使用期間が半年以上となると、それだけ買い替えサイクルが長くなる。消費者からすれば、年間コストを考えると100円台のスポンジよりも安上がりだ。一方で、企業目線では数が売れず、利益が出にくくなるのではないだろうか。

「普通はそう思いますよね。でも、利益を確保できているのには2つ理由があるんです。1つは、キッチン以外にもさまざまな用途で使われているため、1世帯あたりの利用個数が多いこと。もう1つは、友人に配ってくださる方が多く、それをきっかけに新しいお客様が次々と増えているからです」

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 そう教えてくれたのは、元之さんの息子で同社COOの吉田雄哉さんだ。「サンサンスポンジ」の主な使い道は食器洗いだが、多目的スポンジでもあるため、ほかの用途でも問題なく使える。試しに筆者も浴室掃除に使ってみたところ、1回こするだけで汚れがサッときれいに落ち、普段よりも労力が少なく済んだ。

 また、ECの場合は最小購入単位が4個セットのため、すぐには使わない分を知人・友人に分けることも多いらしい。スーパーなどでほとんど販売されていないことから、「自分だけが知っている良品」として、つい周囲に勧めたくなるのだろう。

 こうしたギフト需要に一役買っているのが、カラフルな圧縮パッケージだ。当初は「洗剤を配送する箱の隙間に入れられるように」と採用したのだが、買い溜めしても幅を取らず、かさばらないからプチギフトとしても贈りやすい、という副次的なメリットが生まれた。

薄さ7mmの圧縮パッケージで「省スペース」なのが特徴。贈り物としてのニーズも喚起している ©細田忠/文藝春秋

 ただ、このパッケージは手作業で圧縮しているため、1日に製造できるスポンジの数には限界があるという。一般的なスポンジと同じく、圧縮しなければその分生産能力が上がるのだろうが、その選択肢は頭にないようだ。

「私自身もこのスポンジをすごく気に入っています。これ以上良いものがなかなかできなかったので、製品のスペックは開発当時から変えていません」(元之さん)

 さて、「サンサンスポンジ」がブレイクを果たしたのは、2代目社長の元之さんに代替わりしてからだ。製品のスペックを一切変えずに、どうやって人気商品へと育ててきたのだろうか。