入荷待ちは「3カ月」、それでも多くの人が、スポンジを求めた

「あるとき事務所に入ったら、ものすごい量の郵便局の振り込み用紙が、無造作に置かれていたんです。何気なく見てみたら、通信欄に手書きの文字がびっしりと並んでいて。『本当に手が荒れません』『このスポンジは素晴らしい』と枠外にまで感想を書いてくださっているものもありました。

 そのなかに、『母が洗剤とスポンジのセットを、嫁入り道具に持たせてくれました』というメッセージがあったんです。あれは今でも忘れられません」(晴美さん)

元CAで、ダイニチ・コーポレーションのカスタマーサービスを担当する晴美さん ©細田忠/文藝春秋

「これは宝物だ」と感動した晴美さんは、カスタマーサービスを担当。丁寧な顧客対応で、ファン作りの一翼を担うことになった。

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 その後、電話と自社サイトの注文受付が中心だったところ、2010年になると楽天市場へ出店。発注が入ると送り状を1枚ずつ印刷し、すべて手作業で出荷を行った。冒頭のテレビ番組で紹介されたのは、その3年後のことだ。

 放送後から電話が鳴り止まず、朝から晩まで発送作業に追われる日々が始まった。あまりの忙しさに「うれしい」という感情を味わう暇もなく、毎日500~600件の注文を捌き続けることに。急な需要増に生産も追いつかず、最大で5000人待ちという異例の事態を引き起こした。

「このときは楽天市場の担当者もびっくりしたみたいで、初めて電話をもらったんです。それで、当時は『30個で送料無料』っていう売り方をしていたんですけど、『はじめからそんなに買う人はいませんよ』と。当たり前ですよね(笑)。アドバイスをもらって、その後4個セットの販売を始めました」(元之さん)

 これを機に、楽天市場でスポンジを検索すると、トップページに自社商品が表示されるようになった。さらに数年後、再度テレビ番組で取り上げられると、入荷まで3カ月待ちという前代未聞の大反響を呼ぶことになる。1974年の開発から40年弱。誰も予想しなかった快進撃が、ここから始まっていく。 

次の記事に続く なぜ「洗剤のオマケ」が“年間250万個”も売れるヒット商品となったのか…1個約400円「サンサンスポンジ」が高くても飛ぶように売れるワケ

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。