父には息子がいないので、(夫の)知晴さんを「息子です」って紹介していて、もちろんそれは嘘じゃないんですけどね。みなさん驚かれて「あ、息子さんいはったんかな」とか、「知らなくて失礼しました」ということを言ってくださるんですけど、それをこちらが指摘しても「でも婿って紹介するのは変やろ」って。

――素敵なお父さまですね。

村田 自分がおじいちゃんに可愛がられたから、祖父として孫にいろいろしなあかんとも思ってくれていて。

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「父としては男の子が欲しかったっていうのはあるのかな」

――どうですか、お父さまのお孫さんとの付き合い方といいますか、娘さんから見られて。

村田 私は妹とふたり姉妹なので、父としては男の子が欲しかったっていうのはあるのかなと思います。もちろん知晴さんを息子と呼んで、家族として接してくれてはるんですけど、やっぱり孫が可愛いみたいで。息子があれ欲しいと言ったら「買ったろ!」っていう一面があったり、「食べたいものは我慢せんと食べたらいい」「なんでも食べさしたる」という感じなので、心配ではありますけど(笑)。

©志水隆/文藝春秋

――舌が肥えすぎて。

村田 息子はいま小学1年生なんですけど、好物がピータンとからすみって。

――ええー、漫画みたい(笑)。

村田 そういうことを小学校で言うので、ちょっとおにぎりにしとこかって言ってるんです(笑)。ピータンはアクがあるので私は心配してたんですけど、幼稚園のときに父が食べさせて、息子が「おいしい!」って言うから、「ほんまに?」ってみんなでびっくりして。

――好きになっちゃったんですね。

村田 それこそおじいちゃんは満足気で、「おじいちゃんが初めて食べさせた」ということをしたいんでしょうね。これは食べたことないやろみたいな気持ちで、いろいろあげてはります。

自宅での食事は、入社一年生がつくったまかない

――ご自宅でのお料理は?

村田 私ももちろん料理をしますが、息子がこっち(本店)にきたときはまかないを一緒に食べたり、孫のためにおじいちゃんがちょっとチャーハンつくろかって言ってくれたりして。おじいちゃんは孫のためには動くんやなあって、みんなで言ってます(笑)。

――村田さんご自身はどうですか、お父さまから直接なにか授けられた記憶はありますか?

村田 私はつくるほう(料理人)にはならない前提でしたけれど、知っておかないとだめだということで、「初めてのもんでも嫌がらずに食べる」とか、「おいしいものをちゃんと食べる」ということはしてくれていたのかなと思います。やっぱり食べることは父自身が好きなのと、「おいしいものを知らないとおいしいものはつくれない」というのが父の考えなので。

――ふだんの食事はどなたがつくられていたのでしょう。

村田 まかないです。うちは(入社)一年生がまかないをつくると昔から決まっていて、勉強にもなりますし。

――それを村田家に届ける。

村田 そうですそうです。

――なにをつくられるんですか。

村田 魚の煮付けとか、それこそチャーハンもありましたけど、和食の店なのでちゃんと和食をつくりましょうということで、おばあちゃんが元気なときは献立を見て、「あんた肉ばっかりやないの」とかダメ出しをしながら、「もっとここはこういうふうに炊かなあかん」とか、言われながらやってはりました。

――それは緊張しますね。

村田 それはそれでよかったんですけどね。いまはおばあちゃんも98歳でダメ出しもできなくなりましたが、元気なときはまかないをつくってる厨房まで見に行ってました。「月末は全部空になるから、おからを使うんや」とかね。