クソ野郎が

 この男は、僕の被害状況を把握していないようだ。

〈クソ野郎が。後ろで傍観するだけで俺の身に起こったことをわかってないやろ〉

 心の中でそう呟く。

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 司令官の命令を受け、何とか前線まで戻った。ワグナーの仲間たちは、同情するように僕を見つめて苦笑いしている。

 状況をわかっていない司令官がしつこく怒鳴ってきた。

「前に行けないのか? 進むことができないのか?」

 あまりにも腹が立ち、即座に日本語でこう言い返した。

「できるわ、ボケ!」

 力を振り絞り、1.5mほどの高さの盛り土の先端まで登り切って顔を出す。

 だが、悪夢は2度続いた。手榴弾が視線と同じ高さでワンバウンドし、激しい破裂音が闇を切り裂いた。