10名中5名が…

 ピャトナシュカ旅団で一時、迫撃砲チームに所属していたことが功を奏した。銃弾は「ライフリング」という線条痕が彫られ、回転を与えることによって弾道が落ちずに直進性を保つ。一方、迫撃砲は詰まりを防ぐために砲弾を筒状にしてあり、直進性を担保するために羽が付いている。だがその分、誤差が大きい。一瞬の風でも砲弾はすぐにブレる。たとえば120mmの迫撃砲なら、目標から約75mの誤差がある。

 その誤差を利用した。同じ着弾地点に迫撃砲を着弾させるのは、確率論でいえばほぼ不可能だ。迫撃砲の着弾点の地面には直径2m、深さ50~80cmの大きな穴が空く。この穴が一時凌ぎになった。穴に入って休憩をしながら呼吸を整えて、来た道中を少しずつ戻る。残り200mを切ったところで、できる限りの力を振り絞って野原を駆け抜けた。運悪く銃弾が当たればそれで終わりだ。

 土手を下りると、仲間たちが待っていた。

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「来たか。あとは陣地に戻るだけだ。一緒に行こう」

 仲間2人に両脇を抱えられて味方の陣地まで戻ると、すでにエンジンをかけた車が用意されていた。乗り込むと一気に加速して病院へと向かった。

 この非情とも言える突撃作戦で10名中5名が息を引き取った。

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