進行がんから奇跡的な回復を遂げる「劇的寛解」は決して“奇跡”ではなく、食事の変更やストレス管理など“9つの共通する行動”が効果的だという科学的根拠がある。いくら最先端の標準治療を受けても、受け止める体の土台が乱れていては効果は発揮しきれないというわけだ。
ここでは、肺がん患者を多く診てきた浜口玲央氏の著書『「がん寛解」の科学 この体内環境で予防・治療・再発防止する』(角川新書)の一部を抜粋。余命宣告を受けた患者の治療効果を飛躍的に高める体内環境の整え方を紹介する。
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前章では、SBMという治療の考え方を提案した。SBM(科学に基づく医療)は帰納法、すなわち、様々な事実を集積することによって新たな結論を導く方法であった。集団の結果を評価する従来の臨床試験では拾いきれない患者さん個人の有効例を重視し、論文で科学的に証明された事柄をも含めて検討することで、その人にあった適切な対処法を模索する考え方である。
SBMは、まだEBM(根拠に基づく医療)による「根拠」と言えるまでには高められていないが、臨床試験が集団に対する効果の評価を目的としている以上、そもそもEBMだけで個人に対する最適な方法を期待することは難しい。早期がんに対する手術のように高い確率で治癒を期待できる場合とは違って、多くの進行がんでは治癒が難しく治療の反応性も異なる。このような場合、よくなった方の経過をしっかり確認し、ただ運がよかったケースとして片付けずに、何らかの科学的評価が可能かを判断するのである。
ここでは、進行がんと診断されたにもかかわらずよくなった方たちに共通することについて説明する。また、SBMの手法で行う治療についても概説する。
土台であるからだの環境を整えること
本書では繰り返し、治療反応に差があること、がんの勢いが人によって異なることを述べてきたが、残念ながら、これをすれば確実によくなるというような魔法の方法があるわけではない。
現在の標準治療は、外部からの処置や薬剤の投与が主体であり、治療を受ける側のからだの環境は考慮されてこなかった。それはある意味で当然である。なぜなら、からだの環境は非常に複雑で、常に日々の生活から影響を受けているからであり、薬を飲んですぐに改善できるようなものでもないからだ。私は患者さんにこのからだの環境のことを「土台」と説明することが多いが、土台がしっかりしているからこそ治療の反応性が高まるし、そもそものがんの勢いも弱まる可能性があるのである。
