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宇宙に生命は存在する?

――宇宙人、いるかもしれないですね。

小久保 宇宙人の定義によりますが、生命は存在すると思いますよ。それから、実はコンピュータも小学校の頃から好きだったんですよね。自分で宇宙を実験的に作るっていうのは、自分が全部をコントロールできるので、面白いんですよ。

 

――好きなことが全部できる。

小久保 そうそう。好きだった宇宙、惑星、コンピュータのこと全部ができるんです。計算機は人間にできない計算ができるから、すごいです。苦労して導入している分、子供の頃の感覚とはちょっと違いますが、やっぱりアテルイには愛着がありますね。

光村図書の「国語」教科書に解説文を書きました

――「又吉直樹のヘウレーカ!」(NHK)でも紹介されていましたが、小久保先生は光村図書の国語教科書に書き下ろしの文章を寄稿されていますよね。

小久保 そうです。中学3年の「国語」に「月の起源を探る」という解説文を書きました。今も使われています。

――どうして国語の教科書に?

小久保 最初、僕も同じことを思いました(笑)。それまでに僕が書いたものや出演したテレビ番組を見て、光村図書の編集者が連絡をくれたんです。実は、教科書の解説文って小見出しや図をつけないものらしいんですよ。でも、僕は入れないと分かりにくいと思って、編集部とはずいぶん議論をしました。教科書の世界って、独特で驚きましたね。最終的に編集の人たちが理解してくれて。

――14歳~15歳に向けて書くにあたって、工夫したことはありますか。

小久保 「まだ研究は終わっていない」ということですね。月の起源については、何も完全には分かってないんです。古典的な仮説には、「分裂(親娘)説」「共成長(姉妹)説」「捕獲(他人)説」があって、これらの説はいずれもほぼ否定されている。現在の「巨大衝突説」は有力だけど、問題もあり今日もまだまだ研究は続いているんだ、と伝えたかった。あとは、どんな風にして研究が進められているか、できるだけ具体的に示すことで、「これは現場からのレポートなんですよ」というのが分かるようにしたいなと思って書いていました。これを読んだ生徒から、何通も手紙が届きました。

 

――どんな内容でしたか?

小久保 原本をこの辺りに保管しているんですけど……。読み上げてみますね。「小久保先生の世代だけでは解明できないかもしれません。でも、安心してください。小久保先生が私たちに科学の難しさ、面白さ、不思議さを伝えてくれたおかげで、科学者への道を進み、受け継いでくれるかもしれません。いくら時間がかかっても、くじけないでこれからも頑張ってください」って書いてくれた子がいて。ちょっと、感動しました。

――やや上から目線というのも中学生らしい。

小久保 「くじけないで頑張って」と(笑)。嬉しかったのは、この解説文を読んで、「自分もやろう」と思ってくれる人がいると感じてくれているということ。大変だったので、書いてよかったと一番思いましたね。

――若い世代に向けた本の執筆や講演を続けられていて、文系の私が読んでもわかりやすいです。

小久保 特に、小学生や中学生向けだからと言って、易しく表現しているつもりはなくて、自分が理解する時も、簡単にというか、単純化して本質を取り出さないと、分かった気がしない。その延長なんじゃないかと思います。「こういう生き方もあるよ」というのを、1つの例として見てもらうのがいいんじゃないかなという気がしています。必ずしも、僕が歩んだ道を勧めているわけではなくてね。だから、執筆や講演を続けていますね。