名レシピ「酒蒸しハンバーグ」誕生秘話
――ネットで大きな話題になったレシピの一つが、「酒蒸しハンバーグ」。いわゆる“一般的なレシピ”や、料理としての“常識”に、縛られない発想が注目されました。
長谷川 「こうあらねばならない」というのにはあまり縛られないかもしれないですね。ハンバーグに関しては、家庭料理のジャンルの中に入っていてほしくない料理ランキングナンバーワンだったので。
――ハンバーグがですか? 何故家庭料理にいてほしくないのでしょうか。
長谷川 めんどくさすぎるからです。家庭料理としてはしんどすぎる。学生時代、調理学の教科書に、氷水にあてながらタネをこねて、玉ねぎを炒めて冷やして……って平気で書いてあって、「無理!」って。
ハンバーグを否定したいわけではなくて、家庭料理だったら、もうちょっと手間なく高揚感をもてるレシピがあったらいいな、とずっと思っていたんです。
――反響のなかでは、「あかり信じてるぞ構文」も浸透しました。
長谷川 「信じてるぞ」に関しては、私もそこまで反響があるとは想像してなかったです。私は私なりに、令和の家庭に寄り添うハンバーグの最適解を出したかったということでしかなくて。
大量に牛乳を入れてへらで練るところが、「大丈夫か……?」ってなるポイントだと思うんですけど、自分で作ってこそ食べられる、ふかふかでジューシーな熱々のハンバーグレシピがほしかった。惣菜やレトルトパウチのハンバーグだと、どうしても少し硬くなるので、なるべくみずみずしい柔らかさを……と。しかもつなぎを使いたくない。そうなると、大量の牛乳を入れて、ひたすら練り続ける工程が仕方なく発生しただけなんです。
――「自分らしさ」が確立できたと思えるのは、料理研究家として活動を始めて、どのぐらいのタイミングでしたか?
長谷川 最近かなと思います。世の中の流れ的に、せいろが流行ったりとか、自分を大切にする、とか、ご自愛の文脈が盛り上がる中で、私もその中に存在できているのかなと思えるので。
ただ、最近その「信じてるぞ」構文によって、“長谷川あかりらしい”の解釈が二つに分かれるようになりました。一つは “体に優しい”とか“素の味を生かす”とか、薬味使いなどのレシピの特徴。もう一つは「信じてるぞ」構文が使われるような、“組み合わせが変”ということ。
