長谷川 料理と作業療法が理論としてつながり、それを多くの人に伝えていくことができれば、私がレシピを発信し続けることが、かえって「ちゃんと料理をしなければ」というハードルを上げてしまっているのではないかというジレンマも解消できる。

 ご自愛の方法は必ずしも手の込んだ料理を作ることだけはなく、茹でるだけ、刻むだけでも、心に働きかけることができるのだということを作業療法の視点と合わせてまっすぐ伝えられるようになるので。今は、「料理」と「作業療法」を繋げたいっていうのが一番の目標ですね。

――料理に「救われた」ことがある長谷川さんならではの発想かもしれませんね。

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長谷川 私は、料理が好きでおいしいものを届けたくて料理家をやっているわけではなく、「レシピという媒体に心が救われたという経験をシェアしたい」が出発点なので、もしかすると料理家としての入口が少し特殊ではあるかもしれないと思います。

レシピで「自分の心を少し救える人」を増やしたい

――今後、料理を通してどんなテーマを伝えていきたいですか。

長谷川 最近は、コンテンツ自体はたくさん生まれているけれど、それを本当に必要としている人に届いているのか、という問いがさまざまな分野であると思います。料理も同じで、レシピが流行っていることと、料理そのものが楽しいものとして広がっていることは、必ずしも同じではない。

©平松市聖/文藝春秋

 レシピを提供する側が伝えるべきなのは、ただ「美味しい料理が作れる」「時短になる」ということだけではなく、料理をする人自身が前向きになれるような、作ることの価値や意味なのではないかと思っています。

「これで美味しい料理が作れます」「これで時間が短縮できます」という情報だけを届けることは、場合によっては料理をさらに義務や負担にしてしまうことにもつながる。だからこそ、作る人が自分自身を少し大切にできるような視点をレシピに持たせることで、自分の心を少し救える人を増やす手助けができたら、と思っています。

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