《4月20日午後4時41分に、浅川が長谷川に明日11時新橋駅のいつもの喫煙所にお願いします! 加東さんから連絡ありましたとのメールを送っていますが、このメールから、浅川が長谷川を4月21日午前11時に新橋駅に呼び出していることが分かります。
この時期の新橋駅への呼び出しは土井会長からの指示によるものでしたので、私は、土井会長から電話で長谷川を呼び出す日時場所の指示を受け、それを松田に電話で伝えて許可を取り、それから浅川に伝え、浅川から長谷川に伝えてもらったものだと思います。》
カトウが振り返る。
「この4月21日も、どの商談相手かまったく覚えてない。でもおばちゃん(浅川)のメールが残ってるならどこかに行ったはず。一番手の積水と契約が決まったって関係なしに商談は常にしてたし、新たな客が付くたびに長谷川を動かしていた。二番手とかの番手関係なしに、より多くの相手から金を多く引っ張るのが俺らの仕事だから」
現実感なき5億円の小切手換金
この日の朝10時、積水ハウス東京マンション事業部では売買契約書が結ばれた。前述した(1)~(4)の手順を進めるという契約だ。
ここで長谷川は改めて、偽造パスポートと偽造の権利証の原本、印鑑登録証明書と住民票の原本を提示している。この後、積水ハウス側がこの偽造の権利証の原本を見ることは二度となかった。
Aと積水ハウスの司法書士も偽造品には気づかなかった。さらにこの日、積水ハウスとAの司法書士により東京法務局品川出張所で仮登記も行われた。権利証は仮登記申請手続きには添付不要なため、申請は難なく受理されたのだ。
14億円のうちの12億円がAに小切手で交付され、長谷川の手に渡される。残り2億円はA名義の口座に振り込まれた。