真珠湾攻撃で特殊潜航艇に乗り込み、乗員10人のうち唯一生還するも「捕虜第一号」となった酒巻和男。「生きて虜囚の辱を受けず」と教え込まれた時代、彼はどんな葛藤を抱えて戦中を生きたのか?
これまで500人以上の元軍人・遺族にインタビューをしてきたジャーナリストの神立尚紀氏の新刊『ドキュメント 軍人たちの戦後』(小学館)より一部抜粋してお届けする。(全3回の1回目/続きを読む)
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真珠湾攻撃で「捕虜第一号」となった男
1941(昭和16)年12月8日、日本海軍機動部隊が米太平洋戦争の拠点、ハワイ・真珠湾を空襲、米艦隊と航空基地を壊滅させた。――だが、真珠湾攻撃は航空作戦だけではない。
潜水艦を発進した特殊潜航艇「甲標的」5隻(乗員各2名)も、各艇2本の魚雷をもって米艦を攻撃すべく真珠湾への突入を試みていたのだ。結果的に甲標的の攻撃は失敗し、5隻とも帰還することはなかった。
ところが、10人の乗員のうちただ一人、米軍に捕えられ捕虜となった者がいた。「捕虜第一号」として知られる酒巻和男少尉である。
真珠湾攻撃から70年となる2011(平成23)年、NHKドラマスペシャル『真珠湾からの帰還~軍神と捕虜第一号~』をNHK名古屋放送局が制作、同年12月10日夜9時から総合テレビで放送された。真珠湾攻撃に海中から参加した5隻の特殊潜航艇「甲標的」搭乗員のうち、一人米軍に捕えられ、「捕虜第一号」となった酒巻和男少尉を主人公に、戦死して「軍神」と崇められた9名との絆を、史実をもとに描いたドラマである。



