おむつは二歳八か月で卒業した。
〈「今日からパンツね」と伝えてトイレスタート! 自分から出ると言ったのが3回、行く?と聞いてから2回の計5回トイレで1度もおもらしなし〉
こんな書き込みもあった。
〈「お父さん、早く帰ってくるよ。何する?」と聞くと、「最近ぎゅーしてないじゃん」。寝る前に「お父さん、好きなんだー」と何度も話した。真菜さんは「お父さんお仕事頑張ってるんだよ」と話すと、「じゃあ、いつもありがとうってお手紙書こうか」と言った〉
莉子ちゃんの感情表現はページをめくる度に豊かになっていった。歴史に残らない平凡な日常で、かけがえのない日々がそこにあった。
「もう、つらいわな」
松永が那覇空港の到着ロビーに辿り着いたときには午後七時を過ぎていた。到着口から出てきた松永を、上原義教が出迎える。上原が松永の肩に触れ、労った。子供たちの楽しそうな声が響き渡っていた。小さな男の子と女の子がダッシュした余勢でロビーを滑っていた。
上原はすすり泣き、問わず語りに話す。
「もう、つらいわな。一番つらいのは拓也だけど」
いつもは上原が空港で待っていると、莉子ちゃんは手を振ってから「じいじー」と走ってきて、抱きついてきたという。
私は翌日のインタビューの約束を確認して二人と別れた。おもろまちの投宿先のホテルを目指そうと、空港を出た。かすかな潮の香りがした。タクシーに乗り、ゆいレールの高架を眺めながら、育児日記や松永と上原の顔を思い出した。