東條はボースにすっかり入れ込んでいた

 6月12日に東條は帝国議会で行った演説で、インドに対する方針についてこう述べた。

「帝国は、印度民衆の敵たる米英の勢力を印度より駆逐し、真に独立印度の完成の為、あらゆる手段を尽くすべき牢固たる決意を持っているのであります。
而して、澎湃たる印度民衆の熱望は必ずや実現せられ、米英勢力は駆逐せられ、其の自由と繁栄との齎される日の遠からざることを私は信じ、且つ其の一日も速やかならんことを期待するものであります」(『杉山メモ(下)』p.423。読点を一部削除した)

 東條は前年3月中旬に行った議会演説でも「印度四億の民の多年の努力でありまする『印度人の印度』の実現するは正に今日にありと私は確信するものであります」と述べてはいた(『杉山メモ(下)』p.62)。しかし、今回の演説ではインド独立に対する支援を明確に打ち出しており、ボースとの会談の影響がさっそく出ていることが読み取れる。東條はボースにすっかり入れ込んでいたようで、6月中に二度目の会談も実現している。

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