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「ボレロ」を踊ることを許されたダンサー・柄本弾が挑むこと

柄本弾(東京バレエ団プリンシパル)――クローズアップ

 もう1つ、この年末に控える大舞台が『ザ・カブキ』。東京バレエ団の創始者、故・佐々木忠次さんが盟友ベジャールに創らせた作品で、歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』が下敷きとなっている。その感動的な誕生秘話は『孤独な祝祭 佐々木忠次』(追分日出子著 文藝春秋刊)に詳しい。

 1986年の初演以来、世界16カ国で197回上演されており、柄本さんは2012年にバレエの殿堂パリ・オペラ座で主役の由良之助を演じ、喝采を浴びた。今回は、秋元康臣さんと日替わりで由良之助を演じる。

「日本人の魂のこもった作品ですが、男性ダンサーがここまで活躍できる作品はほかにありません。現代の東京に生きる青年がタイムスリップし、由良之助として討入りを決意する。そのとき、四方八方から躍り出る四十七士が次々に桐の紋の襖(ふすま)を突き破っていくシーンは鳥肌が立ちます」

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 来年7月、『ザ・カブキ』を引っ提げ、名門ウィーン国立歌劇場とミラノ・スカラ座に出演することも決定した。

「ぜひ、舞台狭しと暴れまわる四十七士の“討入り”を劇場で目撃してください」

『ザ・カブキ』四十七士討入りの場面 中央が柄本弾さん ©Kiyonori Hasegawa/THE TOKYO BALLET

つかもとだん/1989年京都府生まれ。5歳からバレエを始め、2008年に東京バレエ団に入団し、『ドナウの娘』で初舞台を踏む。10年『ラ・シルフィード』『ザ・カブキ』で主役を射止め、12年『ザ・カブキ』パリ・オペラ座公演で主役の由良之助を演じた。13年にプリンシパルとなった。

INFORMATION

〈20世紀の傑作バレエ2〉
11月30日~12月2日
柄本さんの『ボレロ』は12月1日の13時、17時の回 11月30日、12月2日の『ボレロ』は上野水香さん   
新国立劇場中劇場
https://www.nbs.or.jp/stages/2018/20ballet/index.html

『ザ・カブキ』
12月15日 由良之助 柄本弾
16日 由良之助 秋元康臣
東京文化会館
https://www.nbs.or.jp/stages/2018/kabuki/index.html

【問】NBSチケットセンター 03-3791-8888

「ボレロ」を踊ることを許されたダンサー・柄本弾が挑むこと

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