2026年7月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3をお送りします。社会部門の第2位は――。
▼第1位 「中居正広問題」の反省が逆効果に…文春報道翌日に佐藤二朗を見捨てたフジテレビの"致命的な大失策"
▼第2位 猟犬が血走った目で逃げ戻り…300kgの「怪物ヒグマ」に翻弄された羆撃ちチームの"日没間際まで続いた死闘"
▼第3位 クマ100頭超を仕留めた「伝説のハンター」は命を落とした…知床の谷に潜んでいた母グマの恐るべき習性
人里に現れたクマに、猟師たちはどう向き合っているのか。2003年秋、北海道東部にある日本有数の酪農地帯、根釧台地の牧場で、ヒグマが体重200キロのジャージー牛を襲い、その遺骸を“土饅頭”に埋めて隠した。単独で200頭超のヒグマを仕留め“令和最強”の異名を持つ赤石正男さんを筆頭に、ハンターたちは「巻き狩り」と呼ばれる集団猟法でこの巨獣を追う。狩猟ノンフィクションから、夜明けから日没まで続いた死闘の顛末を紹介する――(第3回/全3回)。
※本稿は、藤本靖『羆撃ちに人生を賭けた男』(山と溪谷社)の一部を再編集したものです。
「勢子」の名手
夜も明けきらぬ午前5時、支度をしていた赤石の携帯電話が鳴った。
「アカか? ヒグマが忠類川沿いの森に入っていった新しい跡を見つけたぞ」
気の早い猟仲間、小野田廣利からの連絡だった。小野田とは何度もヒグマの巻き狩りで一緒に山に入っており、彼の「勢子※」としての能力を赤石はよく知っていた。勢子にはまずクマザサの生い茂る山中を5キロ、10キロと歩き続ける体力、銃を持たずとも獣を追い詰めていく胆力が求められる。何よりも足跡ひとつからヒグマの進む方角、歩幅を推測し、とりわけ「止め足」を見破る眼力が不可欠である。
編集部註:「巻き狩り」とは、多人数で獲物を囲い込み、追い立て、出口で仕留める集団猟法で、獲物を追い立てる「勢子(せこ)」と、その獲物を待ち構えて撃つ「待ち(射手)」に分かれる。