夏の茅ケ崎——。
茅ケ崎駅のホームでサザンの「希望の轍」のメロディを聴いてしまうと、なぜだか浮かれ気分が押し寄せる。
実のところ茅ケ崎も首都圏のベッドタウンという性質をだいぶ強めていて、マリンレジャーの浮かれ気分だけの町ではない。なのだが、何だろうこの高揚感。夏の茅ケ崎とサザンのメロディには、どこか特別な力が宿っているようだ。
だが、今回の目的地は茅ケ崎駅ではないし、ビーチでもない。茅ケ崎駅からJR相模線という、ローカル色の勝った電車に乗り継いで3駅。静かな住宅地の中にある寒川駅に降り立った。
42年前に消えた「西寒川支線」とは?
茅ケ崎からたった3駅でも、寒川駅まで来れば高座郡寒川町だ。“町”とは言いながらも、人口はいっぱしの市にも引けを取らない約4万8000人。相模国一之宮の寒川神社で知られる町である。
その玄関口・寒川駅からかつて分岐していたローカル線が、通称“西寒川支線”だ。寒川~西寒川間、わずか1.5kmの短い盲腸線である。1984年3月末をもって廃止されたこの小さなローカル支線の跡を訪ねて、この駅にやってきた。

