最大で50%の発がん率低下が報告

 動物モデルでは、CRが腫瘍の進行を抑制し、最大で50%の発がん率低下が報告されている〈2〉。

2.Longo VD, Fontana L. Calorie restriction and cancer prevention: metabolic and molecular mechanisms. Trends in Pharmacological Sciences. 2010; 31(2): 89‒98.

 さらに、CRは単独でのがん予防にとどまらず、化学療法、放射線治療、免疫療法の効果を高め、副作用を軽減する可能性があるとも示唆されている〈5〉。

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5.O’Flanagan CH, Smith LA, McDonell SB, Hursting SD. When less may be more: calorie restriction and response to cancer therapy. BMC Medicine. 2017; 15.

 これは、CRによって腫瘍の代謝活性が抑えられ、治療への感受性が高まるとともに、正常細胞のストレス耐性が向上するためと考えられている。抗がん剤治療を受けている時に、栄養をつけるためにしっかり食べるようにというアドバイスを聞いたことがあるかもしれないが、これまでの話からもわかるように、そのアドバイスは必ずしも正しくはない。ただし、CRのようなカロリー制限を行う場合は、現在の自身の栄養状態がどうなっているかをしっかり把握する必要がある。栄養不良の状態の時に厳しいカロリー制限を行うことはリスクが高く、医師と相談しながら慎重に行い経過を見守っていくことが不可欠である。

©LIELOS/イメージマート

 以上のように、CRは、IGF–1やmTOR経路を通じてがんの進行を抑える可能性を示しており、代謝環境の改善による抗がん効果が注目されている。ただし、その多くの知見は動物実験に基づいており、治療法の一つとして応用する場合には、自分自身の現在の栄養状態をしっかり把握し慎重に行っていく必要がある。とはいえ、食習慣を通じてがんにアプローチするこの方法は、今後ますます重要性を増すと考えられる。