私たちの体には、がん細胞を排除するための高度な免疫システムが備わっている。しかし、がんが進行する過程で、この免疫機構は次第に抑制され、十分に機能しなくなる。免疫チェックポイント阻害薬が示したように、免疫を回復させることは治療の大きな鍵である。ただし、免疫は薬だけで回復するものではない。栄養、炎症、自律神経、腸内環境など、体全体の状態が免疫機能を左右している。
免疫の中心であるリンパ球の働き
がんに対する免疫応答の中核を担っているのが、リンパ球である。リンパ球は白血球の一種であり、血液中の白血球の構成比のうち20~40%を占め、リンパ球数として評価される。このリンパ球数の大小は免疫の働きを予測する一つの指標となるが、このリンパ球にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる機能を有している。リンパ球は大きく分けてB細胞、T細胞、NK(Natural Killer)細胞の3種類に分類される。
・B細胞
B細胞は、骨髄(Bone marrow)で作られ、体内に侵入したウイルスや細菌などの異物(抗原)に対して抗体を産生し、血液やリンパ液などの体液を介して抗体を全身に巡らせて異物を攻撃する液性免疫の役割を持つ。がん細胞に対しては、がん抗原特異的な抗体を産生し、抗体依存性細胞傷害や補体系活性化などを通じて、間接的にがん細胞排除に関与する。
・T細胞
T細胞は、主に胸腺(Thymus)で分化・成熟し、体内に侵入したウイルスや細菌を見つけて直接攻撃して排除するほか、免疫反応の調整も行う。特にがん細胞や異常細胞を直接攻撃する細胞性免疫の機能を持っており、免疫反応の中心的な役割を果たしている。T細胞はさらに機能に応じて分類される。ここでは主要な三つのT細胞について説明する。