N/L比は、がんの予後に関係する
N/L比は経験的にがんの予後に関係することが知られており、実際にN/L比が高いほど、肺がん、乳がん、膀胱がん、消化管がんなど、様々ながん種で予後が悪くなることが多くの研究で示されている〈4〉。
4.Guthrie G, Charles K, Roxburgh C, Horgan P, McMillan D, Clarke S. The systemic inflammation-based neutrophil‒lymphocyte ratio: experience in patients with cancer. Critical Reviews in Oncology/Hematology. 2013; 88(1): 218‒30.
診療している多くのがん患者さんの経過を見ても、N/L比が低く安定している場合には、ほとんど進行せずに落ち着いているケースを多く経験する。一方で、N/L比が10以上の高値が続く場合には、がんが活発に活動して非常に進行しやすい状態であったり、末期状態であることも珍しくない。そのため、N/L比を低下した状態に戻せるかどうかが非常に重要となる。さらに、免疫チェックポイント阻害薬による治療の効果にも関連が認められており、N/L比が高いと全生存期間および無増悪生存期間が短くなる、つまり、治療効果が弱まることが報告されている〈5〉。
5.Sacdalan D, Lucero J, Sacdalan D. Prognostic utility of baseline neutrophil-to-lymphocyte ratio in patients receiving immune checkpoint inhibitors: a review and meta-analysis. OncoTargets and Therapy. 2018; 11: 955‒65.
N/L比が高いということは、慢性炎症が進んでおり、免疫細胞(リンパ球)の働きが抑制されている状態である。実際、高N/L比は腫瘍組織内のリンパ球浸潤(TILs:Tumor-infiltrating lymphocytes)の減少とも関連している〈6〉。
6.Li J, Ni S, Tsang J, Chan WY, Hung R, Lui J, et al. Neutrophil‒lymphocyte ratio reflects tumour-infiltrating lymphocytes and tumour-associated macrophages and independently predicts poor outcome in breast cancers with neoadjuvant chemotherapy. Histopathology. 2024;84.
免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞に対する免疫細胞の攻撃にブレーキがかかる仕組み(免疫チェックポイント)を解除する治療であったが、せっかく免疫細胞が働ける状態になっても、働くべき免疫細胞が少なければ治療効果を十分に発揮できないのである。そのため、N/L比は免疫チェックポイント阻害薬の効果予測指標としても注目されており、治療前のN/L比が低いほど、治療に対する反応が良好であることが示されている。