N/L比(好中球/リンパ球比)からみる免疫状態
血液検査で簡便に評価できる免疫の指標としてN/L比(好中球:neutrophil /リンパ球:lymphocyte ratio)が以前から用いられてきた。これは、血中の好中球数とリンパ球数の比率を示すものであり、免疫のバランスと全身炎症の状態を反映するマーカーである。
好中球は、リンパ球と同様に白血球の一種であり、白血球の構成比のうち40~70%を占め、細菌感染に対する防御を主として担っている。しかし、細菌感染もないのに好中球数が慢性的に増加している場合は炎症の存在が示唆され、相対的にリンパ球数は減少し、がんに対する免疫の機能が低下していることが疑われる。つまり、このN/L比が高い場合は、体内環境が炎症に傾き、免疫が弱まった状態を反映しているのである。
前項で説明したB細胞やT細胞、NK細胞などは、一般的な血液検査として測定することはできないため評価することが難しいが、これら好中球やリンパ球については一般的な血液検査項目として測定される。そのため、簡便にモニタリングしやすい免疫の指標となる。N/L比の目標値は1.5~2.0以下であり、その状態であれば好中球に対するリンパ球のバランスは良好と判断できる。ただし、N/L比は変動しやすい数値であり、感冒や感染症、怪我や打撲などでも上昇するため、トレンドで見ていく必要がある。
また、抗がん剤治療をしている場合には白血球数、特に好中球数が減少するため、見かけ上、N/L比が低下して目標値の範囲となることも珍しくない。しかし、N/L比だけではなく、同時に白血球数、リンパ球数を評価することも必要である。リンパ球は免疫応答の中核を担う細胞であり、リンパ球の総数が少なければ十分な免疫応答は期待できない。そのため、リンパ球数が1500~2000/μL以上、かつ、N/L比が1・5~2・0以下を維持できるのが理想的である。
