――もちろん時間を守らないと怒られるわけですか?

碓氷 そうです。しかも母は食べるのがめちゃくちゃ早くて、同じメニューを10分くらいで片づけるので、言い訳もできない。いま思えば大人と子どもの口の大きさも違うと思うんですけど、そんなこと言っても通じませんから。

 それで、テーブルについた瞬間に食べる順番と使える時間を計算して、「食事戦略」を立てて食べていました。

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 東京大学の入学試験は「時間に対して量が多すぎる」ことで有名で、「どの問題にどれほど時間をかけるか」を見極める必要があります。それが「食事戦略」とそっくりで、もしかするとあれも母なりの東大受験対策だったのかもしれません。

――朝から食事の時間までギチギチですね。

碓氷 朝食が終わってからは、家を出るまで20分で登校の準備をしていました。女子高生なので前髪を整えるとか、アイロンで髪を巻くとか、ちょっとベースメイクするとか、少しでもおしゃれをしたかったのですが、そもそもそんな“不要”なグッズは家にありません。日焼け止めだけは買ってくれましたが、それを塗る時間もなかったですし。

――スマホもほとんど使えず美容も無しだと学校で浮いてしまったりしそうですが。

碓氷 学校には親が入ってこられないので素でいられて、天国の時間でした。部活で友達も増えますし、家で禁止されている小説も友達に“密輸”してもらって楽しんだり、こっそり土日に友達と遊ぶ約束をしてみたり。もちろん母にはすべて秘密にしていました。

スマホの位置情報もすべて監視、電源を入れると3分以内に鬼LINE

――学校のお友達に母親の話はしていましたか?

碓氷 私が愚痴まじりに言いふらしていたので、「碓氷の家はヤバい」ってめちゃくちゃ有名でした(笑)。

 部活で「活動終了時刻を何時にするか」というミーティングをしたときも、「なるべく早く終わらせてほしい、母がキレるから」と言ったら「それって、命に関わるやつ?」って笑いが起きて。実際関わるわけですが……。

――親の話も共有して、学校では楽しく生活できていた。

碓氷 ただ学校にいる時間も、母の監視は続いていました。母は私のスマホの電源記録や位置情報をすべて管理していて、調べ学習の授業などでスマートフォンの電源を入れると、必ず3分以内に「なんで電源がついているんだ」と鬼LINEが飛んでくるんです。そのうち、スマホをオンにしたら「授業のために電源を入れました」と即報告する習慣がつきました。