32歳で暴力団を離脱したあと、42歳で一念発起して受験勉強を始め、44歳で慶應義塾大学に合格した斎藤由則さん(51)。1年の休学を経て、2025年3月に大学を卒業。現在は弁護士を目指して司法試験の勉強をしながら、犯罪者の更生支援や被災地でのボランティアなど、社会貢献活動にも取り組んでいる。

 2025年12月には、衆議院法務委員会に参考人として出席し、国会議員たちの前で再犯防止に必要な視点を語って話題となった。

 そんな斎藤さんに、慶應義塾大学を受験することになったきっかけ、アルファベットも書けなかった当時の学力、1日17時間の勉強生活などについて話を聞いた。(全6回の5回目/6回目につづく

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斎藤由則さん ©志水隆/文藝春秋

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起業して1日で400万円を稼ぎ出し「燃え尽き症候群」に

――30代で始めたタクシー運転手を約2年間で辞めた後は、なにを?

斎藤由則さん(以下、斎藤) 生花業です。知り合った社長さんと一緒に始めたんです。エプロン巻いて、代々木の花屋さんで働いてました。

 月額1万円から1万5000円の契約料で、生花をオフィスやお店に置いてもらって、月に1回取り替えるという、今でいう生花のサブスクみたいなものをスタートさせました。

 で、少ししてから不動産業も始めて、夜の商売もやって。現在は不動産事業をメインにしつつ、広告代理店やホームページ制作の会社をやってます。

――生花レンタル、夜のお店、不動産。稼ぎも良かったのでは。

斎藤 笑いが止まらなかったですよ。1日で400万円とか入ってきましたから。だけど、燃え尽き症候群になっちゃった。

 さすがに自家用ジェットを持っているとかじゃないけど、「欲しいものをすべて手に入れたしな」と思ってしまったんです。高級車も持ったし、高級マンションにも住めるようになったし。もうやり遂げたかなと。

 なんか糸がプツッと切れたんです。「何やってんだろう、俺」「金のために生きてんのかな」って。

 実際、人がお金に見えちゃうようになってきてたんです。夜のお店だったら「この人、どうせ5万円ぐらいしか使わないんだよな」とか、不動産だったら「この人、マンション買ってくれるな」とか。

 悪い言い方をすると、「この人なら、いくら引っ張れるな」みたいな。人間査定というか、そのへんが分かっちゃうんですよね。