「気づいたら僕、もらい泣きしちゃって」富士山に登ってご来光を見た結果…
――なるほど。
斎藤 そういうのもあって、つまんなくなっちゃったんです。で、2か月間ぐらい家に閉じこもってしまって。
そんななか、会社の仲間達に「富士山に登りませんか」と誘われて、登ったんです。8.5合目の山小屋で「今日、太陽は見られないよ」って言われたんですけど、「最後まで登ってみようよ」と。頂上に登って、ご来光を待ったんですよ。そしたら雲の隙間からブワーッと太陽が出てきたんです。
それを見て他の人たちは、みんな涙を流してて。最初は「この人たち、なんで泣いているのかな?」と思ったんですけど、それぞれが悩みや苦しみを抱えているんだなと感じてきて。気づいたら僕、もらい泣きしちゃってたんです。
いろんな苦労があるのに、俺の苦労なんてちっちゃいもんだなって。「なに俺、こんなことで病んでたんだろう」と、ハッとしましたよね。
「死ぬまで中卒。それはちょっとアレだなって」慶應大学受験を目指すようになった経緯
――そこから大学受験に挑もうと。
斎藤 たまたまフジゼミ(広島県福山市の学習塾)を紹介する番組をテレビでやってて、それを見て「俺も勉強してみようかな」と思ったんですよ。
僕、勉強してないじゃないですか。手に入れてないものが欲しかったんですよ。高校にも行ってないから、そのままだったら死ぬまで中卒。それはちょっとアレだなって。
でも大学なんて、箱根駅伝に出場する大学しか知らなかったですから。
――最初から慶應大学の一択ですか。
斎藤 やっぱり私学の雄じゃないですか、慶應って。ステータスじゃないですか。サラブレッドだし、慶應ボーイじゃないですか。
――たしかに早稲田ボーイって聞いたことないですもんね。
斎藤 で、慶應だなって。フジゼミは広島にあって、きょうだいでやられている塾なんです。電話して「大学に行きたいんです、慶應大学に。なので話を聞かせてください」と言ったら「ぜひ来てください」と。
それまで暴走族だった子や少年院を出た子に教えてきたフジゼミだけど、まさか元ヤクザが来るとは思わなかったんじゃないですか。
フジゼミ代表の藤岡(克義)先生は興味津々で、「どこのヤクザだったんですか」「なんか役職なかったんですか」とか質問責めで。先生も、僕みたいなのを慶應に行かせたら大変なことですから、「この人に挑戦させてみよう」と思ったんでしょうね。
先生と会ったのが、2017年の10月。勉強に専念する前に、行きたい場所に行って、食べたいものを食べて、思い残すことがないようにスッキリさせて。広島に移ってマンションを借りて、42歳だった2018年の1月5日から受験勉強に打ち込みました。
