――メンタルが強いなと思った棋士はいますか。

久保 いや、それは感じないようにしています。メンタルも技術も絶対に勝てないと思ったら、勝負でマイナスですからね。自分でコントロールできるのは自分しかいません。他人をコントロールするのは無理ですから。

――それでも考えてしまうことは、一般的によくありそうです。

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久保 昔はありましたね。いまは無理なことをもう考えなくなりました。

――30代で5年間、相談に乗ってもらったあとは、もうしていないんですか。

久保 ええ。いまはメンタルが安定しましたし、自分なりのルールを3つ考えて対局に臨むようになりました。「将棋を楽しむ」と「ミスと負けは進化の過程」。最後のひとつは、そのときに考えたテーマや課題ですね。

――当時の5年間は浮き沈みが激しい時期でした。まず33歳で初タイトル「棋王」を獲得。2010年に羽生九段からタイトルを初奪取し、棋王・王将の二冠に。振り飛車党による二冠は1974年の大山康晴(現十五世名人)以来の偉業です。しかし2012年3月はA級降級、王将と棋王を失冠と一気に転落しました。同年秋に将棋日本シリーズJTプロ公式戦で優勝したとはいえ、ダメージは大きかったのでは。

久保 トリプルショックなのできつかったですけど、勝負の世界では勝つこともあれば負けることも当然あるので、そのころには淡々と受け入れられたかなとは思いますね。

――A級を落ちた翌日から、もう研究を始めていたそうですね。

久保 自分でも「何で駒を触ってるんだろう」と感じましたけど、気付いたら研究していました。「自分は次勝つために負けたんだ。次に繋げられたら、負けも負けではない」と自然に思えるようになったんでしょうね。

©︎杉山秀樹/文藝春秋

――3年前にB級1組から降級したときはどうでしたか。

久保 もちろんショックでしたけど、やっぱり受け入れるしかないと思いました。また這い上がりたかったら、いろいろ新しいことをしないといけません。

――B級1組とB級2組は、どれぐらい厳しさが違うのでしょう。

久保 順位戦は上に行くほどやっぱりシビアにはなっていくとは思います。昔からB級1組が「鬼の住処」といわれてきましたが、いまはB級2組に羽生世代がたくさんいるので「鬼の住処」みたいな感じですよね。

チャットGPTに順位戦の予想を聞いたら…

――ずばり、順位戦の目標をお願いします。

久保 50代以上で順位戦を昇級したのは数えるほどですが、次の年に苦戦している方が多いようです。年齢的に厳しいとは思いますが、自分は順位戦で勝ち越すかよい成績を残したい。

 ちなみにチャットGPTに順位戦の予想を聞いたら、私は5勝7敗だといわれました(苦笑)。それだと残留が危ういです。ひとまずは指し分け以上を目指します。それを達成すれば残留以上が見えてくるとは思うので、一局ずつ積み重ねていきたいですね。(つづく)

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