将棋の対局は長時間かかるものが多く、スタミナが要求される。タイトル戦となれば、2日間かけて行われる対局さえある。1日制で最長の持ち時間は順位戦で、各6時間。朝10時に対局が始まり、12時と18時にそれぞれ40分の食事休憩が設けられている。双方が持ち時間を使いきるのが23時20分ごろ、そこから1手60秒未満の着手を続ければ日付が変わってもおかしくない。
「頭脳スポーツ」といわれるように、当然ながら体と脳は疲弊する。長時間の対局を戦い抜くために、将棋の研究に加えて体のトレーニングや対局中の食事で工夫している棋士も多く、アスリートのように自己管理を求められる世界になりつつある。
昨年の順位戦で、久保利明九段は22時半過ぎに引き分けが成立するという激闘を戦い、30分後に始まった指し直し局で日付が変わって1時半前に勝利を収めた。日頃から運動をしている久保九段だが、運動と将棋を考え続ける体力はまた違うものではないかという。50歳を超えても10代の天才たちと戦うにはどうしたらいいのか。その試行錯誤を楽しそうに話す様子からは、夢と向上心に終わりがないことが伝わってきた。(全3回の3回目/最初から読む)
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10代の天才と深夜まで戦い続ける
――公式戦は、順位戦であれば12時間以上続くことも当たり前のようにあります。対局していると、どのように消耗していくのでしょうか。
久保 対局はマラソンのようなものです。フルマラソン(42.195キロ)で30キロを超えるとしんどくなってきて、そこを耐えられるかどうか。脳疲労を起こして最後までたどり着けないこともありますよ。体力のある若手のほうが有利で、最後に抜き去って勝つのが一般的なイメージだと思います。
――「30キロ」は、何時ぐらいですか。
久保 21時、22時ぐらいですかね。ミスが出るのは、その時間帯が多いです。将棋も終盤になり、いちばん難しいところに差し掛かってくるから当然ですけど。そこで集中力を切らさずに、脳疲労を抑えられるかがいまの課題ですかね。
――どうすれば、ベテランが体力に自信がある若手に勝てますか。
久保 ベテランは経験値が若手よりは絶対に多くて、そこはプラスに働くはずです。経験から読まなくていい変化を見きり、重要な変化だけを考えれば終盤に時間を残せます。まあ、理想と現実は違うのですが(苦笑)。



