「誰かに注目されたかったんです。逮捕されなくても、安倍元総理の国葬の日に同じようなことをやったと思います」
2022年から、池袋暴走事故の被害者である松永拓也さんを誹謗中傷するメッセージを送っていたのは愛知県に住む22歳男性の湯川順一(仮名)氏だった。
なぜこんな迷惑行為に手を染めたのか? 自分が誰かを傷つけていることを知っても、迷惑行為をやめなかった「彼のその後」とは――。
TBSテレビ守田哲氏の新刊『池袋高齢者暴走事故 遺族と加害者家族の2060日』(文藝春秋)よりお届けする。(全2回の2回目)
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誹謗中傷をやめない息子を持った「両親の苦悩」
当時、私は警視庁記者クラブの責任者を務めていて、部下の重松大輝に取材を担当してもらった。湯川が侮辱容疑で書類送検された当日の四月二八日の夜、重松が彼の自宅を訪れると、父親が取材に応じた。
「息子も昔は普通の子だったんです。私たちもどうすればいいのか、わからないんですよ」
重松が近くで張り込んでいると、夜一〇時頃、大型バイクのエンジン音が轟き、バイクスーツ姿の湯川が現れた。
細身で短髪、日焼けしたような肌、スポーツマン風の外見は、あの激しい文言を書き込んだ人物とは思えなかった。
犯行の動機を「松永さんが金や反響目当てで戦っていると思った」と話し、書類送検されたことについては「当たり前のことだと僕は思ってます」と反省の弁を述べた。
