東海林 チャーシューはよくつくりましたね。

笠原 あれを読んで、“男の料理”というものを知りました。東海林先生の本に出会わなかったら、僕は料理人にならなかったかもしれないです。

東海林 一時、お寿司に凝ってね。自分で握ったりして。

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笠原 描写も、すごくおいしそうだなと。そのあと、「丸かじり」シリーズに移行したわけですよ。『週刊朝日』で連載をやっていて、当時はまだ自分で週刊誌とか買わないので、病院にあるのを読んだりしていました。

東海林 最初は丸かじりとは言ってなかったですよね。

笠原 『あれも食いたいこれも食いたい』。

東海林 だんだんまとまってきて、単行本から丸かじりになったんです。

 

何十年も連載を続けられた秘訣「実在のモデルは…」

笠原 僕は料理人で、文章を書くことが仕事ではないですが、レシピ本の「おわりに」とか、自分で文章を書くときはすごく東海林先生の真似をしています。大人のユーモアのセンスも。何十年も連載を続けられた秘訣はなんですか?

東海林 あの頃、連載がいくつか始まったんですけれども、大体「何でもいいから」という注文が多いんですよね。毎週毎週、何でもいいといわれるとかえって決まらないんです。むしろ何か決めたほうがいいんだなとだんだん分かってきて、食べ物というテーマを選んだんですね。そのほうが制限があって楽なんです。

笠原 締め切りに間に合わなかったことはあります?

東海林 いや、それはないですね。

笠原 あれだけお忙しくされていて。

東海林 1回もない。

笠原 東海林先生が描くちょっと意地悪そうな定食屋のおばちゃんとか、ちょっと感じの悪いおじさん。絶対こういう人いるなっていう顔なんですけど、実在のモデルはいるんですか?

東海林 こういう人がいるなって、私が知っていることは確かですね。いかにも定食屋のおばさんとかおじさんとか、愛想がなくてね、料理にそんなに情熱があるわけじゃなくて。

笠原 その描写も好きです。料理をつくるときよりも競馬新聞を読むときの目つきが鋭いとか。あと店で流れるテレビドラマの……。

東海林 「水戸黄門」。

笠原 再放送の時代劇を観る目つきのほうが鋭い。

東海林 お昼どきというと大体そうなんですね。ちょうどこの辺で悪代官に捕まるよ、なんて。