いいなと思った人とはすぐ同棲して囲いこんじゃう
阿川 『週刊文春』の「家の履歴書」みたいに、住んだ家の履歴とともに人生をたどる構成になっていますね。
松尾 2023年10月に家を見つけて、その2日後には購入を決めて不動産屋に手付金を払い、11月に引っ越したんです。そのドタバタ劇を毎週配信しているメールマガジン「松尾スズキの、のっぴきならない日常」で書いたら、『文學界』の編集者から連載にしませんかと話をもらって。最初は「松尾スズキ、家を買う」みたいなノリだったのが、書いていくうちに、昔住んだ家の話の方も面白いなと。
阿川 実は私も今度引っ越すのですが、親元を出て9回目になります。
松尾 多いですね。
阿川 そう言う松尾さんこそ、20代前半から60歳にかけて14回もお引っ越し。多い!
松尾 どうも更新料を不当に取られている気がして、賃貸の家に住んでいるときは、更新の時期になると引っ越していました。あと、女性と付き合ったり別れたりするんで。
阿川 そこですよ。おモテになるんですねぇ。そしてなぜ、人見知りの方が他人と一緒に暮らすのは抵抗ないのかなと。『物件女漂流記』でもよかったんじゃない?(笑)
松尾 基本、寂しがり屋なんで。いいなと思った人とはすぐ同棲して囲いこんじゃう。僕の場合、人は嫌いじゃなくて新しい人と会うのが苦手なんです。だから人見知りの段階はすぐ過ぎる方だと思います。
阿川 同席していらっしゃる奥様を前にして伺うのもナンですけど、女性へのアプローチはどうやって?
松尾 お酒なしに女性を口説いたことはないかもしれません。(大人計画メンバーの)星野源とか一滴も飲めないのに、どうやってあんな美人さんに素面のまま「好きです」とか言えたのかなって不思議なんですよね。
阿川 松尾さんはお酒を飲むと、豹変するんですか?
松尾 豹変はしないです(笑)。お酒を飲んでいると、初対面の人に対しても垣根がなくなって、自分の家で喋っているようなテンションになれるんです。
阿川 ご本を読んでいても、演劇人として駆け出しの頃は、昼間からジントニックを飲んで夜はクラブで踊り狂って、イケイケじゃないですか。もともと九州の大学でデザインを学んだあと上京して、最初は糸井重里さんに憧れてコピーライターを目指されたんですね。
