劇団を自分で立ち上げようと思った理由
松尾 そうですね。演劇、映画、美術展を観ると、ノートに採点付で感想を書いていたんです。
阿川 採点!? 面白くないときも?
松尾 けっこう辛辣に書きましたね。
阿川 世間ではヒットしているけど、俺は認めない、みたいなのも?
松尾 世の中で認められたものにはそれなりの面白さがありますよね。僕はスピルバーグとか好きで大衆向け作品の方が割と好みなんです。
阿川 B級映画のような、ちょっと尖った作品がお好きなイメージがありました。
松尾 そっちも好きですけどね。『ムカデ人間』とかね。
阿川 何だ、それは(笑)。
松尾 オランダとイギリスの合作映画で、3人の人間の口と肛門をつなぎ合わせて1つの生命体をつくろうとするホラーです。2や3になると、さらに大人数をつないでムカデ人間をつくろうとするんです。この8月から日本の劇場で、4Kリマスター版が上映されていて、僕は宣伝アンバサダーに選ばれました。
阿川 ハハハ、怖いけど面白そう(笑)。他におススメはありますか。
松尾 アメリカ映画だと『悪魔の毒々モンスター』です。シリーズ第2作は東京が舞台で、僕の知らない間に大人計画の役者が呼ばれてエキストラで出演していたんですよ。
阿川 なんでこんな話になったんだっけ……そうだ! 大人計画誕生前夜を聞きたかったんです(笑)。当時、他の劇団の芝居を観て採点するところからはじまって、影響を受けた劇団や役者はいましたか。
松尾 大竹まことさんの「シティボーイズ」や、宮沢章夫さんが作った「ラジカル・ガジベリビンバ・システム」に憧れました。宮沢さんのことは焦がれるほど好きで「舞台に出してください」と直談判して出させてもらったんです。それで初めて舞台に立ちました。
阿川 ご自分で劇団を立ち上げようと思ったのはなぜ?
松尾 東京の芝居を一通り観て点数をつけていくうちに「オレの方が点数高いな」と、万能感みたいなのが湧いてきたんです。
阿川 当時の彼女に「芝居しか褒められたことないんでしょ? なら、芝居やりゃあいいじゃん」と背中を押されたことも大きかったんでしょ?
松尾 それもありましたね。
阿川 25歳で大人計画を立ち上げて。それにしても人見知りのくせに、劇団をつくって舞台に立つ勇気がどこにあったんだ。
松尾 劇団の座長を務めてからは、人見知りという鎧を脱げたんです。とはいえ、今もリーダー感はゼロですよ。僕の方から劇団員たちを誘って飲みにいこうぜ、みたいなことはできないから。
